日本一の回転すし職人を決める第7回全日本回転寿司MVP選手権が25日、都内で行われ、東京・世田谷にある「金沢まいもん寿司 三軒茶屋」店長の内添浩さん(37)が優勝。日本一の称号とゴールド皿、トロフィーなど贈られた。
日本回転寿司協会が主催。すし職人が実際にネタを握り、接客する「グルメ回転寿司」をうたう全国の10社から腕利きの職人10人が参加した。会場となったホールには実際に回転すしのレーンが組まれ、にぎりの技術やスピード、美しさ、客対応のパフォーマンスなどを競う。マンガの〝すし対決〟が、現実になった大会だ。
2019年に開催された前回大会の覇者で、岐阜県高山市の「活き魚回転寿司 魚鮮」の田口勇輝さん(27)は「優勝後取材が殺到し、遠方からも『おいしいものが食べたい』とお客さんが来店してファンもついた。雑な対応はできないというプレッシャーもあり、技術や接客技術もさらに上がる」とV効果を語った。
優勝した内添さんは、回転すし職人歴20年のベテラン。3度目の挑戦で悲願を達成したが、笑顔はあまり見せず「今からがスタート。すしを握るスピードも、もっと速くなれる。接客も相手の言いたいことに聞く耳を持って聞くという能力をもっと高めないと。これから勉強です」と職人肌をのぞかせた。
決勝では鉄火巻、カッパ巻など巻物3皿と軍艦2貫ずつ2皿、まぐろとサーモンを2貫ずつ2皿、イカの握り2貫ずつ3皿を6分あまりで驚異の速さで握り切り、重さにもばらつきが無い。接客技術を競うパフォーマンスでは、おすすめネタの説明や魚の知識、客のムチャぶりへの対応などを難なくこなした。
内添さんは、回転すし職人が客から特に求められるものとして、スピードを挙げる。「お客さんからのニーズがある。速く提供してくれるとお客さんはうれしいし、美しく作らないと意味がない」と話し、確かな腕への自信を見せた。
〝回らない〟高級すし店への対抗意識もにじませる。「回る、回らないの違いはない。お客さんが価値を判断することで、職人の手で握り、しっかりしたネタを値打ちのある値段で出すのは同じこと」と、回転すし職人としてのプライドをにじませる。
「『回らないおすし屋さんに来たみたいだね』と言われるのはうれしいし、そういうものを提供し続けないといけない。接客も、まだまだ伸ばせる」と力を込める。回るすしに全精力を傾けてきた内添さんに、日本一の回転すし職人の座が回ってきた。