徳島市は5月15日、「燃やせるごみ」の名称を「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ」に変更した。ごみ減量化と資源の再利用化を図ることが目的。この大胆な名称変更はSNSで大きな話題を呼んだ。変更から1カ月余り、分別意識に変化は見られたのか?異例の施策の現在地を聞いた。
徳島市は、1人1日当たりのごみの排出量が全国平均と比較して約100グラム多い状況が続いている。令和3年度のデータによれば、同市の燃やせるごみの中で最多を占めるのが「紙類」で36.71%となっている。紙類の中には正しく分別すれば資源に変わるものもあり、市民の分別意識を高め、ごみの減量化と資源の再利用化を図ることを目的に名称が変更された。
ごみの減量などを目的とした名称変更の例としては、今年4月に京都府亀岡市が「燃やすごみ」から「燃やすしかないごみ」に改称した。似た事例が直近にあるとはいえ、今回は「分別頑張ったんやけど」という“枕詞”まで付けた大胆な変更。ネットでは賛同の声もあれば、その他さまざまな意見も寄せられ、大きな話題を呼んだ。
同市の環境政策課の担当者は、発表直後のネットでの反響について「数多くの方々に注目をいただけたことについては、徳島市民だけにとどまらず、全国の皆さまに対して、ごみの分別を意識していただく機会になった」と前向きに受け止めた。
変更から1カ月余り。市民からの反応だが、変更後は問い合わせが増加。その内容の多くは、紙類に関する資源物の出し方や集積場以外の受け入れ場所についてだという。同担当者は「お問い合わせなどにより、ごみの分別意識の向上につながったと実感しています」と手応えを感じている。
また、ごみの排出量や紙類の増減について、来年度に公表予定。今後、燃やせるごみの組成分析により紙類の排出量を算出し、その数字から改称の効果を検討していく。
徳島市では「徳島市民マイナス100gチャレンジ」をキャッチフレーズとして、啓発活動を展開。5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行したことも踏まえ、同担当者は「イベントで外出する機会が増えることで、ごみが増えることも考えられる」と懸念しつつも、「掲げる目標に近づけるよう、ごみ減量と資源の再利用化に対して、市民の皆さまにご理解とご協力をいただきたいと考えております」とした。