サブカル系の古書、古物店最大手まんだらけの「生前見積」が3月、16年の運用開始から丸5年を迎えた。死期を意識したコレクターに同社が無料で査定を行い、見積もり書を発行するサービス。後世への引き継ぎや、遺族の財産として活用が期待されている。その歩みと成果を、担当者に聞いた。
5年間の利用者は約200人、50~60代が中心で9割が男性。近年は40代の申し込みが増えているという。利用者からは「手元に生前見積書があるので安心した」「高い査定結果を見せたことで、今まで理解を示していなかった家族が喜んでくれた」という声が寄せられた。
実際に「ご遺族の方が、生前見積書をご覧になられ、弊社へ買取のご相談をくださった」ケースがあったという。その一方、コレクター魂が成仏したのか「見積り結果に満足したので、すぐに整理したい(売りたい)」という相談が寄せられたこともあった。
印象に残った査定については「具体的な品名などは、個人特定に至る場合もございますので伏せさせていただきますが、ウルトラマンをはじめとした特撮系玩具で計1500万円を超える見積りがありました」と語った。コロナ禍でもネットを活用し、利用者とスタッフが接触しないよう配慮されている。
さらなるサービス充実に向け「ここ数年で『終活』が注目され、生前整理を意識される方も増えてきました。人生をかけて集めたコレクションの行く末を考えた時、捨てられることなく、次のコレクターの方の手に渡る、そういった窓口であり続けられるよう誠実に対応してまいります。また、100年後には国宝となるようなお品物をお持ちのコレクターが、日本には大勢いらっしゃいます。そういったお品物が1つでもこの世から無くなることがないよう尽力していくのも、まんだらけの使命です」と、決意を語った。