働き方改革の一環として、休日を増やし「週休3日制度」を取り入れる企業が増えている。10月1日から制度を導入した企業では、業務時間以外の生活が充実した反面、社外との連携や業務密度の面で課題も見えてきた。
商標登録システムを制作する株式会社で、商標登録の申請を代理する特許業務法人でもあるToreruは、定休日をこれまでの「土日祝日」から「金土日祝日」に変更した。定休日は15人の社員が一斉に休む。給与や1日の所定労働時間は変わらず、従来より週あたりの労働時間は減る。
従業員の仕事以外の時間を充実させることを目的に、CEOで法人代表の宮崎超史さんが約半年前から導入の検討を始めた。2020年2月頃からほぼフルリモートワークに切り替えていたこと、週休3日制度開始前の7月頃から金曜日に社内会議や顧客との打ち合わせを入れないなど段階的に準備したことで、大きな混乱なく切り替えが進んだ。
営業日を1日減らしても事業が成り立つカギは「生産性」。会議は時間を短縮し、チャットのやり取りに置き換えるなどした。顧客にとって重要でない形式的な書類送付は取りやめた。
さらに、事務作業や集客のためのシステム活用にも力を入れた。例えば、書類作成を自動化システムに頼ることで「10件こなすのを100件に増やしても、(従業員の負担は)10倍ではなく2倍くらい」に。労働の効率化を図った。宮崎さんは「週休3日にしたら生産性が上がるのではなく、生産性を上げたから、そのご褒美として週休3日ができる」と強調する。
制度導入から約2週間が経過し、これまでに「金土日月(祝日)」の4連休と「金土日」の3連休を経験した。
宮崎さんは趣味のギターや筋トレを楽しんでいるといい「(週休2日の)今までの1週間は仕事が主役で合間に休暇があるイメージだった。(休みが)3日あると趣味とか仕事以外のことを考える時間が増えて、仕事半分プライベート半分という感じで1週間を捉えられるようになった」と生活の充実を実感。従業員からは「(土日の休みは家族のことばかりやっているが)金曜日があることで自分に時間が使えるようになり、家族に優しい気持ちで接することができるようになった」や「勉強時間に充てられる」とポジティブな反応があった。
一方で、「週休3日になって平日のストレスレベルは上がっているんじゃないかと感じます」(宮崎さん)と、課題も見えてきた。
制度導入後は最短でも3日間、祝日が続くと4日間休むことになり、週休2日制が主流の世間とズレが生じる。これまで社外からクレームはないが「3日間も顧客と連絡を取らないので(顧客対応が遅れることに)不安感はあると思います」という従業員の心理的な負荷や、休み明けに「(社外からのメールなどの)業務がすごく溜まる」こと、週の労働時間が減ることで「1日の処理量が増えている」ことなど、ネガティブな面がある。宮崎さんによると祝日のある週は金曜を出勤日にするなどの案はあるというが、導入から約2週間の今は「まだ検討できていない」と話していた。