世界各地には不思議な伝承のある「呪われた場所」があるという。ジャーナリストの深月ユリア氏がその例をまとめ、識者に見解を聞いた。
◇ ◇ ◇
世界各国には「呪われた土地」として、恐ろしい伝承のある場所がある。あくまで、都市伝説に過ぎないが、ご紹介する。
【バミューダトライアングル】米フロリダ半島の先端と、大西洋にあるプエルトリコ、バミューダ諸島を結んだ三角形の海域。船や飛行機、もしくは、その乗務員のみが跡かたなく消える事故が多発した「呪われた三角地帯」として有名だ。「失踪者は宇宙人に誘拐されているのでは？」「ブラックホールが存在して吸い込んでいるのでは？」という都市伝説がささやかれていたが、昨年６月に放送されたディスカバリーチャンネル「魔の海域 バミューダトライアングルとは？」によると、「この地域では年間５００個の海上竜巻が観測され」、さらに「磁力の異常により重力がゆがめられ、事故が起きやすい」という説が有力だそうだ。
【ウィンチェスター・ミステリーハウス】米カリフォルニア州にあり、「幽霊屋敷」として有名だ。かつては、銃器産業で巨万の富を築いた実業家ウィリアム・ワート・ウィンチェスターの邸宅だった。しかし、「超常現象の大百科」(学研ミステリー百科)などによると、ウィリアムが亡くなった後、妻のサラは自称・霊媒師に「ウィンチェスター製の銃によって、命を奪われた人びとの霊に一族は呪われている。霊たちのために家を建てなさい。もし建設を止めれば、あなたは死んでしまう」と告げられたそうだ。恐ろしくなったサラは邸宅に小部屋や通路を迷路のよう作っていき、増築期間は３８年にも渡った。現在も「幽霊が出る」という目撃談があるそうだ。
【ホイア・バキュー】ルーマニアのクリージュナポカにあり、なぜか木々が一切生えていないエリアがあり、「呪われている」という噂がある。ホイア・バキューの公式ＨＰによると、「森で行方不明になった少女が５年後に突如姿を現す」、「２００頭を引き連れた羊使いが痕跡もなく姿を消してしまう」などの都市伝説があり、森を訪れる者に体調不良者が続出し、現地では「ルーマニアのバミューダトライアングル」として恐れられているそうだ。またＵＦＯや幽霊の目撃例も多く、「電子機器が誤作動する」「不気味な笑い声が聞こえる」という体験談もあるという。公式ＨＰでは「真実かどうかは、はっきりとは言えません。ホイア・バキューの森を訪れて自分で体験してください」と心霊ツアーを勧めている。
【ポべーリア島】イタリアのベネチアにあり、「呪われた島」と恐れられてきた。英誌デイリーテレグラフの報道によると、かつて、ポべーリア島には、ペスト患者の隔離施設があり、多くの死体が埋葬されたことから「島の土壌の半分は人の骨でできている」という噂もあるそうだ。さにに「この島に建てられた精神病院で院長が霊障（※霊がつくことによって心身に不調を来すこと）により発狂した。院長は患者にロボトミー手術などさまざまな人体実験を繰り返し、あげくに自殺した」という恐ろしい都市伝説もあるという。
【ポート・アーサー】オーストラリアのタスマニア州にあるユネスコの世界遺産に指定された刑務所のことで、１９世紀中頃まで囚人の流刑地で、囚人たちによる開拓作業も行われていたという。現地の観光情報によると、心霊スポットとして有名で心霊ツアーも敢行されているようだ。ツアー参加者は「髪の毛が引っ張られた」「写真を撮ろうとしてもカメラのシャッターが使えなかった」など、心霊体験をしているとか。
【リンダ・ビスタ・コミュニティー病院】米カリフォルニア州にあり、「呪われた廃病院」として恐れられている。現地の旅行チャンネル(Ｔｒｖｌチャンネル)「リンダ・ビスタお化けの歴史」によると、７０年代に頻発したギャング抗争により医師や看護師にも被害が続出し、従業員は次々と辞めていった。人材不足により、患者が亡くなる事例が多発し、９１年に廃院となってしまったそうだ。この廃病院に近づくと「体調が悪くなる」「不可解なうめき声を聞く」など、数々の恐ろしい体験談があるという。
以上の例を踏まえて２人の識者に話を聞いた。
中央大学総合政策学部で比較文化を教えていた元講師で文学博士の酒生文弥氏は「科学と合理主義が行き渡ったかに思える現代世界でも人跡未踏の危険地域、殺人事件、自殺、神隠しなどの現場、不可思議な心霊現象が起こる建物など『ミステリースポット』は今なお語られています」という。超常現象研究家の鈴田之神助氏は「不思議な現象が起こるのは宇宙からの何らかのエネルギーが働いているかもしれません。常識にとらわれない考え方が解明のヒントになるかもしれません」と指摘した。
これらの地には現在の科学では証明できない「何か」があるのかもしれない。
