大槻ケンヂ率いるバンド「特撮」が、5月12日にニューアルバムをリリースすることを発表した。コンスタントな活動を継続している特撮だが、アルバムをリリースするのは2016年の「ウインカー」以来、実に5年3カ月ぶり。このコロナ禍で、特撮はどんな思いでこのニューアルバムを制作しているのだろうか。大槻ケンヂに話を聞いた。
中将:今回、5年3カ月ぶりに特撮のアルバムを制作されようと思ったきっかけをお聞かせください。
大槻:コロナ禍でライブがやりにくくなった今、それならアルバム制作に力を入れてみよう、と前向きに発想を転換したということです。しかし、別バンドをやっていたり、特撮では何曲かシングルを出していたので、そんなに間が空いたとは驚きです。
中将:世間ではコロナ禍によるストレスや対立が社会問題になっていますが、コロナ禍が大槻さん、特撮のファン層になにかしら精神的影響を与えていると感じることはありますか?
大槻:それはこれから作詞をして行く作業の中で見えて来るのではないかな、と思います。まだコロナ禍とバンド、リスナーの置かれた全体像が把握できていないというか、それを歌詞を作る事で俯瞰で観る事が可能になってくんじゃないかと。
中将:1月15日にリリースされた「I wanna be your Muse」は“歌詞のモデルになりたがる女がいる”という大槻さんが以前からエッセイ等に書かれてきたテーマと「密」「自粛」というコロナ禍ならではのワードがミックスされていて大変興味深い内容でした。コロナ禍が大槻さんの創作に与えている影響や、今だからこそアルバム制作を通し表現しておきたいことなどあればお聞かせください。
大槻:これは僕に限らず歌詞や物語を書く人間にはとても厄介な問題で、コロナ禍を意識して書くか、無い世界線として書くか、歌詞上の人々はソーシャルさせるべきか否か?コロナ禍収束後に「コロナの頃の歌詞かぁ、古っ、ピンと来ないね」と言われないためにはどう書けばいいのか?どんな時代になっても通じる歌詞、表現を目指さないといけないんだろなぁ、と考えています。難題。