元・火葬場職員でミュージシャンという異例の経歴を持った怪談師が注目を集めている。彼の名は「下駄華緒」。テレビの怪談番組や怪談イベント、昨年開設したYoutube番組「火葬場奇談」でも火葬場でのあるある話や怖い体験談を披露し、大きな反響を得ている。彼はなぜ火葬場職員となり、そして今、怪談師として活躍しているのだろうか?本人に話を聞いた。
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港町:火葬場職員になられたきっかけをお聞かせください。
下駄:「あいつは人を焼いたことがある」という噂のパンクバンドの先輩がいたんですが、本人にお話を聞いたところ火葬場に勤めていると教えてくれたんです。ちょうど職員を募集していたので僕も勤めることになり、火葬場職員になりました。「火葬技師一級」という資格も取っています。
港町:火葬場職員になって一番印象的なエピソードは?
下駄:「人は動くんだな」という事です。ちょうどスルメイカを焼いた時のようにゆっくり…と。
港町:怖い!YouTubeでお話になっていた「友引人形」のお話も印象的でした。
下駄:友引の日の葬儀で、人間の身代わりに人形を入れる風習ですね。ご遺骨の横に、バラバラだったりまだら模様だったり、変な焼け方をした人形がいる光景は僕も怖かったです。
港町:今や怪談イベントや怪談番組で大活躍の下駄さんですが、怪談は昔からお好きだったんですか?
下駄:それが全くそうではないんです。これは完全に松原タニシ君(事故物件住みます芸人。著作に「事故物件怪談 怖い間取り」など)の影響ですね。バイト先が同じでバンドも一緒にやっていたので、彼に勧められて、ネットやテレビに出るようになりました。
港町:実際に心霊的な体験をされたことはありますか?
下駄:二十歳頃、関西某所でバーをしていたのですが、その頃“赤”にハマってしまったんです。天井から壁、テレビ、トイレ、照明に至るまで全部真っ赤にしちゃったんですよ。そんなある日、若い女性の一見さんが来店されたんですが、話しかけても流すような感じで目線も合わせてくれない。2杯目を飲み終わって店を出られたその方が、表から手招きされたので付いて行くと、「カウンターの中に赤い女の人がいる。引っ張られているからお店やめたほうがいいよ」と言われてしまいました。