東京都調布市・京王線調布駅前の「アオギリ(通称:英霊の木)」が2日に伐採され、新たに苗木が移植されることがわかった。
アオギリは明治時代の日露戦争後「調布市から出兵し現地で戦死し、還れなくなった兵士の遺骨代わりに持ち込まれた木」とされており、以来100年以上に渡り調布駅前に根を張っていた。日露戦争では調布市出身の新選組局長・近藤勇の孫・近藤久太郎も亡くなっており、アオギリはいつしか「英霊の木」とも呼ばれるようになり、「切ってはならない木」として調布市内で愛される存在となっていた。
英霊の木の話題は5月に「よろず~ニュース」でも扱われ、10月にはテレビ東京系『やりすぎ都市伝説』でも紹介されるなど、近年に入って注目を集める機会が増えていた。
アオギリの伐採について、調布市都市整備部まちづくり推進課は5月時点で「放置すると倒木や大枝の落枝等が発生する可能性が高く危険な状況」「今後、安全確保の観点のもと次世代への植え替えを含め適切に対応する予定」と語っていた。
6月にも改めて調査すると、「推定腐朽空洞律が不健全の基準である50%をはるかに超える結果」となり、安全性の観点からこのたび伐採を行ったという(以上は、11月時点でアオギリの前に建てられた推進課の掲示物より)。
現時点で、調布駅前の英霊の木は伐採および工事が完了しているため、その姿を消しているが、今後は英霊の木の種から育てた苗木を調布駅前広場内に新植し育てていく事が発表されている。つまり、アオギリそのものはなくなったが種から植えた「新しい英霊の木」が来年、調布駅前の広場に誕生するというのだ。
奇しくも今年2024年は、日露戦争勃発から120年の年であり、同時に2025年は英霊の木が植えられてからほぼ120年という年でもあった。新植された英霊の木の苗が、日露戦争の記憶を現代に伝える存在となる事を期待したい。