過酷なマラソンが、脳に悪影響を及ぼす可能性があるという。ある研究によるとランナーの体内では食事から得られる炭水化物がない時に脂肪が消化されるそうで、その組織が脳の領域から採取されることから脳機能に影響を及ぼす恐れが示唆された。
男性8人と女性2人のランナーのマラソン後のMRI検査で、ミエリンと呼ばれる神経を保護し電気信号を速める鞘様の脂質の大きな減少が見られた。そして協調性、感覚、感情に関連する脳の部位に広範な変化が発見された。ただし、2カ月後の追跡検査では正常レベルに戻る結果となった。
スペイン、ビルバオのバスク大学で同研究を進めるカルロス・マトゥーテ博士によると、ミエリンは、エネルギーが不足した際に脳へ燃料供給をするのに役立つという。
マトゥーテ博士は説明した。「私たちの発見はマラソンをすることで、ランナーの白質領域におけるミエリンの水分レベルが減少することを示しています」
「このことはミエリンが、脳の一般的な栄養素が不足した際にすぐに使えるエネルギー貯蔵所であるという新たな見方ができるかもしれません。この変化が脳機能に影響を及ぼすかどうかの評価が重要となるでしょう」