新幹線で「そこ、私の席なんですけど」と言ってきた相手→実は勘違い→指摘に逆ギレ… スムーズな対処法とは

石原 壮一郎 石原 壮一郎
画像はイメージです(moonrise/stock.adobe.com)
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 ゴールデンウィークでは帰省や旅行などで公共交通機関を理由する機会が増える。その際、指定座席を巡るトラブルが起きることもある。相手の勘違いであっても、その間違いを指摘した口調が〝バカにしている〟などと受け止められて〝逆ギレ〟されることも…。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏が具体例を挙げながら、冷静に対応する最善の策を提言した。

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 【今回のピンチ】

 新幹線で予約した席に座っていたら、いきなり「そこ、私の席なんですけど」と怒った口調で言われた。相手のチケットを見せてもらったら、車両が違っている……。

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 よくあるシチュエーションですが、けっこう厄介なピンチです。自分の側が、うっかり予約した席とは違う席に座っているケースも、なくはありません。

 その可能性を考えると、反射的に「俺の席だよ!」と言い返すのは、ひじょうに危険です。まずは「ちょっとお待ちください」と言いながら、自分のチケットもしくはスマホの予約画面をチェックしましょう。

 間違いなく自分の席だった場合、次にやるべきは、相手のチケットの確認です。見せてもらったところ、車両番号が違っていました。相手はまだそのことに気付いてなくて、引き続き怖い顔をしています。

 大切なのはここから。自分に非がなかったからといって、強い口調で「ほら、車両が違ってるよ。よく確かめろ!」などと相手の非を責めるのは、百害あって一利なしです。逆ギレを招いたら厄介だし、自分自身も怒りの感情が長く尾を引くでしょう。

 あくまで穏やかに、まずは「あっ、なるほど。わかりました」と言って、相手を少し落ち着かせます。その上で「どうやら、これは〇号車のチケットのようですね」と告げれば、相手も素直に謝ってくれるはず。

 ぶっきら棒に「これ、○号車ですよ」と告げるのは、得策ではありません。こっちが冷たい態度を取ると、売り言葉に買い言葉的な構図になって、相手が舌打ちを残して去っていくという不愉快な展開になりそうです。

 席泥棒の濡れ衣を着せられている現時点で、すでに「小さな災難」に見舞われています。大切なのは、災難の被害を最小限に抑えること。そのためには全力で「いい人」になるのが、もっとも有効です。

 相手が「すいませんでした」と謝ってくれたら、ニッコリ笑って「いえいえ、お気になさらず。私もよくやっちゃうんですよ」ぐらいのことを言ってあげましょう。そうすることによって、ムカムカした気持ちが消えてなくなるし、何ならいい気持ちになれます。

 残念ながら、自分が悪いとわかってもすんなり謝れない人は、けっして少なくありません。ここまで読んで、「なんで間違われたほうが下手に出なきゃいけないんだ」と思っている人は、きっとそっち側です。

 無言で立ち去ったり、なぜかこっちをにらみつけて行ってしまったりした場合は、心の中で「もー、恥ずかしがり屋さんなんだからあ」と、クレヨンしんちゃんの口調で呟きましょう。「どうしてそんな態度を取るんだ」とか「謝らないのは人としてどうなんだ」なんて考え始めると、被害が無限に拡大します。

 「情けは人の為ならず」という諺がありますが、大人な対応も「人の為ならず(相手のためになるだけでなく、自分にもよい報いとなって戻ってくる)」ですね。

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