自己破産手続で絶対NGなこと…ローン途中の車を売ると横領罪に!

平松 まゆき 平松 まゆき
画像はイメージです(kegfire/stock.adobe.com)
画像はイメージです(kegfire/stock.adobe.com)

 コロナ禍で収入が途絶え、借金が返せなくなった、一人暮らしで生活費が足りず、少し借りただけのつもりが利息が膨らんだ、住宅ローンが払えなくなり、このままだと家を失ってしまう等、お悩みは様々だと思います。債務整理には大きく分けて任意整理、個人再生、自己破産の3つの手段があります。自己破産手続において、絶対にやってはいけない代表例について紹介します。

 1つめは、ローン途中の車を売ってお金を作ることです。自己破産に至る過程で、お金を作るために車を売る方は多いようです。しかし、もしご自身の車がローン途中の場合、その車の所有権はローン会社等にあります(所有権留保と言います)。その状態でローン会社に断りもなく売却する行為は、いわば他人の車を勝手に売却することと同じですから、横領罪に問われる可能性があります。

 2つめは、預貯金口座に入っている金銭を一時的に引き出し、お金がないように見せかけて、破産した後にこれを取り戻す行為です。いわゆる財産隠しです。しかし、本来、自己破産は破産者が持つ財産を処分してお金に換え、債権者に平等に分配(配当)し、それでも足りない部分について免除してもらうという制度です。預貯金があるのにこれを隠して破産することは、本来債権者が受け取れる配当を意図的に減らす行為ですから、免責不許可事由(破産を許可しないこと)に該当し得ますし、それどころか、詐欺破産罪に問われる可能性があります。

 なお、バレないだろうとお思いの方もいるかもしれませんが、破産申立時、過去2、3年分のすべての預貯金口座の写しを提出する必要がありますので、破産手続きに入る直前に預貯金を動かしても必ず形跡が残ります。また、少しでも不審な動きをすると「破産管財人」が綿密な調査を行います。本来は破産管財人が着任することが原則で、特別な調査等が必要ない場合に例外的に破産管財人が着任しない運用がされているのです(これを「同時廃止」と言います)。

 余計なことをすると、破産管財人に支払わなければならない報酬が発生するだけでなく、免責不許可になり得ますので、絶対にやめましょう。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース