声さんは「元々はビジネスマンの方が平日、都心で働いてここで寝泊まりし、週末に自宅に帰るというコンセプト。今はテレワークの部屋としてコロナの時代にぴったりだと思います。壁と壁が面していない構造で音が伝わりにくいという点から音楽の配信にも合っていて、この建物が好きなプロのDJの方にも出演していただいています」と説明した。
当初、カプセルは25年に1度交換される予定だったが、それは実現することなく来年で半世紀を迎える。実は数年前から建て替えの話が浮上している。
前田さんは「本来は保存を前提とした企業に建物1棟を購入いただき、当初のコンセプト通りカプセルを交換して使い続けてほしい。もし、解体しなければならないのであれば、取り外したカプセルを他の場所で使用したい」と思いを明かす。声さんは「リノベーションがうまくいけば大いに活用できる。1回壊してしまうと2度と作れないことを考えると、すぐに壊さないでいて欲しい」と願う。
存続か解体か?その狭間で揺れつつも、都会のど真ん中に根を下ろした「昭和の遺産」は、揺るぎない現実として、そこに立つ。