子どもが巣立ち、高齢者夫婦だけや1人住まいになっている家も多いと思います。1人や2人だけでは掃除が面倒で、年金暮らしだと光熱費や維持費も大きい負担となってきます。「減築」とは建物の床面積を減らすリフォームや改築のことで、「増築」の対義語として使われ、2階建てを平屋にしたり、使っていない部屋を撤去したりして建物を小さくすることです。国土交通政策研究所は、わが国では世帯が小規模化する傾向にあるため、世帯規模の縮小に合わせたコンパクトな住まい方や地域性を継承した住宅・住環境整備を実現する方途として、「減築」という手法の活用が有効であると考えられてます。
そこで、100年後のありがとうを目指し「人と地球と家計にやさしい家」を設計・建築する平松建築株式会社がこのほど、持ち家戸建て住宅に居住中の50歳以上75歳未満の男女全国1000人を対象に行った「減築」についての調査結果を公表した(平松建築株式会社 調べ)。
「『減築』という言葉を知っていますか?」と聞いたところ、「知らない」(65.6%)がダントツで、「知っている」(10.5%)、「なんとなく知っている」(11.5%)、「聞いたことがある程度」(12.4%)は、それぞれ1割程度となった。
「減築に興味はありますか?」では、「興味はない」(66.2%)、「現在興味はないが、検討の余地がある」(18.2%)、「やや興味がある」(11.1%)、「興味がある」(4.5%)だった。
「減築のメリットは何だと思いますか?」については、「使わない部屋や無駄なスペースが減らせる」(56.3%)がトップで、「掃除など家事負担が減る」(40.0%)、「光熱費やメンテナンス費が抑えられる」(34.4%)、「固定資産税が減る」(29.3%)、「生活動線が短くなり、移動負担が減る」(27.0%)と続いた。
平成30年の総務省「住宅・土地統計調査」によると「高齢単身」世帯住宅室数は平均で4.37室、「高齢夫婦のみ」世帯は5.35室となっており、家族で住んでいた家にそのまま住んでいるせいか、かなり部屋数の多い家に住んでいるとみられている。
調査を行った平松建築株式会社の職人社長・平松明展氏は高齢者世帯に推奨する理由として次の3点を挙げた。
①生活費の削減(高齢者は退職して収入が減少することが多く、光熱費や維持費などの住宅関連の費用が負担となることがあります。減築によって部屋数が減り、暖房・冷房コストや家具・家電の必要性も減少するため、生活費の削減に繋がる可能性があります)。
②管理の容易化(多い部屋数の住宅は、片付けや掃除、日常の維持管理が一層大変です。高齢者の身体的な制約を考慮すると、部屋数が少ない住宅の方が管理は容易で、健康状態に合わせた生活スタイルをサポートしやすくなります)。
③安全確保(高齢者は急な階段や狭い通路、たくさんの部屋がある住宅内での移動が難しくなります。減築によって住宅内の移動がスムーズになり、転倒やけがなどのリスクを低減することができます)。
ただし、高額な費用がかかる場合や、工事中の仮住まいが必要となることから、経済状況や家族構成、健康状態などを十分に考慮し、適切な提案することが求められるとしている。