時代に伴う家庭料理の調理法の変化がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのはこりまさん(@korimakorima)の
「昭和45~平成5年頃の料理の本を見るのが好きで『煮込み時間1時間20分』とかの夕食献立がどしどしと載っている。主婦が夕方に1時間以上台所にいるのが当たり前だった頃。きっと、1時間ガス火の前にいられる人数が激減してから日本の家庭料理は大きく変わったんだろうなと思う。」
という投稿。
総務省統計局の統計「共働き等世帯数の年次推移」によると1980年(昭和55年)時点で現役世代の専業主婦率は約65%に達したが、1990年代に過半数を割り込み、近年では約30%と著しく減少している。
確かにこれでは何時間もかかる煮込み料理のレシピなど一部の好事家以外に需要がないだろう。
今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは
「昔の『きょうの料理』がいくつか実家にあります。ものすごく手のかかるものばかり。こんなの普通に食べてる?とびっくりします」
「私が義母からもらったおせちのレシピ(40年くらい前のお料理教室のものらしい)黒豆は10時間煮る、数の子は2日かけて水替えながら塩抜きしさらに1日つけ汁に漬けるとある…ずっと火の番をしてるわけじゃなくても、家に張り付いてる家事専属人が必ず誰かいるという時代ですね」
「料理を生業にしていますが、その頃と調理器具の進歩と調理技術の革命で、調理にかける時間は大幅に短縮していると思います。
むしろ、その頃よりも手の込んだ料理が、手をかけずにできるようになっています。
特に煮込み料理は鍋に放り込んでおくだけで、鍋番している頃のものよりずっと美味しい。」
など数々の納得の声が寄せられている。
こりまさんにお話を聞いた。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
こりま:「料理する時間が減り、日本の家庭料理の味が落ちたのではないか」というような反応もありましたが、個人的にまったくそうは思いません。社会の変化で料理時間の短縮が求められ、需要が生まれてホットクックやより便利な圧力鍋が生まれたのだろうと思います。美味しいまずいは個人の好みですね。ただ「くつくつ、ことこと煮込まれるお鍋の前にいるお母さん」像に今でも憧れを持つ若い人も結構いるのかなと思いました。
ーーこの年代の料理本で、長時間かかるレシピ以外にも現代との違いを感じることはありますか?
こりま:「目分量で」「お好みの量のマヨネーズを」「ふたつまみほど」「見て火が通ったと感じたら」「よいかげんの柔らかさまで煮えましたら」など、読者の裁量に任せるレシピが多いです。また、完成品の写真だけがあり過程の写真は載っていないことが多いです。今の料理本は逐一調味料の分量を指定し、丁寧に調理過程の写真を載せています。正確さが期されていますが、ある意味では子供扱いとも言えるのではと。
昔の料理本は完成品の写真しか載せず、字が細かいので一冊に掲載できるレシピの数が増えます。200品を超えるレシピが載っている本も珍しくないです。一冊買えば30年は使える仕様になっているんですね。出版点数が今よりもずっと少なかった時代ならではだと思います。
◇ ◇
読者のみなさんは家庭での調理にどれくらいの時間をかけているだろうか?
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