大阪府の関西大学生活協同組合(関大生協)が1日、生協内での掲示やSNSを通じて「今期のご飯の値上げは行わないこととし、差額は関大生協で全て負担致します」と、ライスの値段を上げないことを宣言し、反響を呼んでいる。
くしくも、同日は某持ち帰り弁当チェーンがエイプリルフールとして「米の価格高騰を顧みて、全店でライスの販売を停止いたします」とX(旧ツイッター)に投稿し、ほっかほっか…どころか、大炎上したばかり。一方、関大生協の異例の決意表明はバズり、称賛の声が広がった。
同生協の食堂で提供している大ライスは、米価格の高騰分を価格に転嫁した場合340円(組合員価格)になるが、230円(同)のままで提供するという。
同生協飲食サービス事業部GMの尾形恒さん(61)によると、今年1月に取り引きしていた米の販売業者から「4月以降、米ないです。手に入らない」と通告されたという。「そんなことを言われて、そんなわけにもいかないので、いろんなところに声をかけて、今の業者に変えた。前の業者から『何とか手に入りそうです』と言われたが、10キロ1万円とか言われた。さすがにそれはどうなんや…と思って」と、米確保の苦労をのぞかせた。
現状、米10キロが8000円を超えるくらいだという。半年分の30㌧を確保したというが、米の価格は2・6倍になったという。「元々3000円くらいだった。米の値段は(高騰したまま)全然変わっていない」と嘆く。
なぜ、生協が差額を負担してまで米の値段を据え置きにするのか。尾形さんは「ここ数年(学生の)利用が落ちてきている。おかずとか、食材の値上げに伴って、メニューも若干、値上げをしている。利用が落ちているというようなところで、まともに米の値上げをしてしまうと、もっと利用が減るんじゃないかなという」と、ごはんの値段を上げなかった理由を説明した。
さらに「生協として考えて、まず学生に対してできることって、まず食べること。何とか、生協の方でフォローできる範囲ですることは大事なんじゃないかと。本当に、各部門で話し合いました」と、学生生活を考えての決断だったとした。
差額の負担額、つまり“赤字”になるのは年間1000万円ほどになるという。「この額も、米の値段が下がると仮定してのもの。(業者からの価格は)2カ月ごとに見直すんです。2カ月後にいくら下がる…と、そんな計算をしての1000万円弱」と、さらに膨れ上がる可能性もあるという。
尾形さんは「全く、生協が利益が出ていないわけではない。それはなんとか…それこそ『そのぶん、パソコンを売ってみろ』みたいな話をしているんですけれど(笑)。もしかしたら全体であかんなってなってしまうかもしれへんけど、今回は何とかしようやないか、ということ」と強調した。
学生生活の苦しさは年々、感じているという。ごはん価格の据え置きだけでなく、同生協は関大生の保護者会・教育後援会と卒業生組織の校友会の援助を受け、年間を通して「100円朝食」「100円夕食」を実施。24年は、約4万6000食が提供された。
尾形さんは「とりあえず、ごはんの価格据え置きは、今年に関しては。これが例えば2年続き、3年続き…なんていうのは、たぶんもう耐えられない。この1年は、学生のために頑張ろう、なんとかしようということ。そのためには、やっぱり利用してもらう、増やすしかないんですよ。少しずつでも補填になるんで、増やすことが。利用する人が増えてほしい。損か得かって言われたらアレですけど、マイナスを少しでも減らせられたら」と訴えていた。