米国防省がUFO研究に熱心な理由 「背景に軍事予算の正当化も」識者が指摘

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(IgorZh/stock.adobe.com)
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 米国防省がUFO研究に熱心なのだという。激動する世界情勢の中、そのことが意味するところは何か。ジャーナリストの深月ユリア氏が海外の報道を紹介し、識者に話を聞いた。

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 10月24日、 米航空宇宙局(NASA)がUFO(未確認飛行物体)について調査する目的で科学者や専門家など16人のチームを結成した。 同チームは宇宙生物学、データサイエンス、海洋学、遺伝学、政策、惑星科学などの専門家、米海軍の戦闘機パイロットなどにより編成される。

 米国防省は昨年、UFOについて調査する「異常現象監視・解決局」を新設し、11月に50年ぶりにUFOに関する公聴会を開いているが、なぜウクライナ戦争や経済不況など他に重要な課題を抱えている中、UFOにここまで熱心に取り組むのか。 この件に関して、UFO研究家・作家の益子祐司氏に筆者がインタビューしたところ、益子氏は疑念を抱いているそうだ。

 「多様な専門家による報告書が公開されるだけで、UFOファンが期待するような、宇宙人の侵略等の可能性を示唆するものにはならないでしょう。私は国内外のアブダクション体験を調査し、そこには信ぴょう性があると考え、自身もUFO撮影や遭遇体験をしていますが、地球の歴史上、宇宙人の侵略もオープンコンタクトも起きていません。その事実からも、異星人は地球には基本的に不干渉の姿勢でいるように感じます。政府公認のUFO映像は、素人の目にも、軍の垂直離着陸機に見えます。撮影中の軍パイロットの声も緊迫感なくリラックスしている感じがして、おそらく正体が分かっているから(もしくはアフレコ)だろうと思います」

 では、このプロジェクトの目的は何か。

 益子氏は「今回のチーム結成の目的は、領空の安全確保と未知の現象の分析でしょうね。そして、(秘密裏の目的として)背景には軍事予算の正当化があると思います」と指摘する。

 実際に、CNNの報道によると、米国のバイデン大統領は中国・ロシアに対抗して、23年の国防予算を4%増の8130億ドルにするそうだ。「NASA」本部科学ミッション本部副長のトーマス・ズルブケン氏が同プロジェクトの目的について、海外メディアに答えたインタビューによると、「宇宙や大気圏における未知の現象を探索することは、NASAの存在意義の核心部分です」「UFOについて解明することが、国家安全保障と空の安全の両方に利益をもたらすが、現段階でUFOが地球外から到来している証拠はない」という。

 また、CNNなど海外メディアによると、米国防省が創設した「異常現象監視・解決局」はUFOが他国の軍事兵器である可能性含め調査しているという。終わらないウクライナ戦争に、中国の台湾有事も懸念され、米国防省が「未知の新兵器の存在」について安全保障の観点からピリピリしているの可能性は否めない。NASAによると、約9か月のUFO調査後に、調査結果は一般公開される予定だそうだが、果たして新たな画期的な情報は出るのだろうか。

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