札束でビンタ、イヤホンケーブルを絡ませるマシーン「無駄づくり」藤原麻里菜の催しで無駄社員に

山本 鋼平 山本 鋼平
「株式会社無駄」代表の藤原麻里菜
「株式会社無駄」代表の藤原麻里菜

 「無駄づくり」をテーマに活動する作家・藤原麻里菜の作品を展示、体験する催し「株式会社無駄 渋谷支展―無駄なおしごと体験」が8日、東京・渋谷センター街のマイラボ渋谷で開幕した。SNSに投稿した作品が反響を呼び、メディアへの登場も多い藤原は「無駄な時間を過ごせるアイテムを用意したので、ぜひ無駄な時間を過ごしてほしい」と呼び掛けた。

 今年2月に自ら「株式会社無駄」を設立したことから派生した、〝無駄だらけのオフィス〟をテーマに6作品を展示。「札束でビンタされてやる気を出す」、「『オンラインミーティング緊急脱出マシーン』でミーティングから抜け出す」、「『謝罪メールパンチングマシーン』でお怒りメールに返信する」、「『フラワーミドルフィンガーマシーン』にお花を生ける」と個性的な作品が並ぶ。自ら操作し体験する。「『イヤホンケーブルを絡ませるマシーン』でイヤホンを絡ませて、またほどく」と「ビニール袋が舞うのをぼーっと見続ける」は、今回の催しに向け製作した巨大化バージョンだ。

 藤原は頭の中に浮かんだ不必要なものを何とか形にしてきた。「イヤホンケーブルを―」を「イヤホンを絡ませないための道具はあるし、絡ませないことは考えても、絡ませることは考えていないなと思って作りました」と説明。一方で「札束でビンタ―」は「仕事のやる気が出てこなかったので」と、「ビニール袋が舞う―」は「路上で舞っているのが好きだったので」など、多くを語ろうとはしない。「面白い、つまらないは見る人が自由に判断してほしい」という信念の表れのようにも思える。

 吉本興業所属のお笑い芸人だった2013年、ユーチューブチャンネル「無駄づくり」を開始した。「最初はピタゴラスイッチを作ろうとしたんですよ。でもピタゴラスイッチが作れなくて、何かぐちゃぐちゃなマシーンみたいなものが出来上がってしまって。それを失敗したと言いたくなかったので、無駄づくりという名前をつけました」と振り返った。反響を集め、18年には台湾で初の海外個展を開催。表彰や受賞が続き、肩書はコンテンツクリエイターに変わった。

 最近になって、無駄づくりを見つめ直すようになったという。「無駄って言われて削られていくものが、本当は豊かさであり、人生にとって大切なものなのでないか。無駄をあえて作ることで、新しい価値や魅力が生まれるかもしれない」。そんな意義を見いだし、従業員は自身だけの会社を立ち上げた。「会社になったら面白そうだから」とシンプルに答えつつ「そういった私の精神性、無駄の捉え方が仕事になり、それが法人登記されて、社会の一部になったのは、何か面白かった」と語った。

 催しは入場無料、9月11日まで。不定休。来場者にはタイムカードが配られ、出社時刻と退社時刻を印字する企画を実施。Tシャツ等のグッズ販売、寿司プラモが話題を集めたStudio SYUTOとコラボレーションした「ゴミプラモ」の先行販売を行う。開館時刻などの詳細は公式サイトまで。

 

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