『ゴジラVSコング』ハリウッドはゴジラのデザインを学んでいない!なべやかん、愛するが故の言葉

なべやかん なべやかん

 何度も延期された『ゴジラVSコング』が劇場公開された。映画は映画館で観るのが一番。特に怪獣映画は大スクリーンで観ると迫力が違う。1980年代、ポピーのキングザウルスシリーズの怪獣ソフビCMを劇場の大スクリーンで観た時は、普段遊んでいる怪獣ソフビでもこんなに迫力があるのかと驚いたものだ。怪獣映画を大スクリーンで観る幸せを多くの人にも味わってもらいたい。

 ちなみに、わたくし、なべやかんは、ゴジラ、キングコングが登場する映画を観るのは趣味であり、仕事であり、使命であるので、初日に観に行っている。少し前までは「アベンジャーズ/エンドゲームを観るまでは死ねない」と言っていたが、ここ最近は「ゴジラVSコングを観るまで死ねない」に口癖が変わっていたくらいだ。(ちなみに今は「007」を観るまでと言っている)。劇場の売店で「パンフレット下さい」と言うと、「普通版ですか、特別版ですか?」と店員さんに聞かれ、「両方下さい」と即答。もちろん、これも使命である。

 本作はワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズが手掛ける「モンスターバース」の4作目。2014年の『GODZILLA ゴジラ』から始まり、17年の『キングコング: 髑髏島の巨神』、19年の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と前振りがあり、日本を代表する怪獣とアメリカを代表するモンスターの対決が実現した。ボクシング好きな人ならメイウェザーVSパッキャオ、井上尚弥VSノニト・ドネアといったビッグスター同士の対決で大興奮しただろう。ボクシング好きの自分も大興奮して観戦したが、今回はその5倍以上のワクワク感で本作を鑑賞した。

 まだ観ていない人のために、あまりネタバレせずに書くが、コング輸送のシーン、新怪獣・ワーバットとコングの戦いは『キングコング対ゴジラ』(62年)、『キングコング』(76年)のオマージュを感じる。強いて言えば、ワーバットの口を引き裂いてくれたらもっと濃厚なオマージュだったのに。ワーバットだが、中岡俊哉著『世界の怪獣』の表紙絵、60年代の『少年キング』のカラーグラビアに登場したオリジナル怪獣を思い出してしまう。その他、コングの顔に関しては、たまに33年のキングコングの顔に似ている所もあり、そういった所も良かった。

 62年に日本で作られた『キングコング対ゴジラ』では、両者の対決はドローで終わったが、今回は決着が付いたのが良かった。そして、玩具でネタバレしてしまったメカゴジラ登場で怪獣バトルはさらなる盛り上がりを見せる。

 今回は迫力があり、画的に素晴らしいシーンが多々あるが、残念なのがゴジラのデザインだ。モンスターバースのゴジラは既に見慣れてしまって最初に見た時ほどのショックはないが、本来のゴジラのカッコ良さを感じられない。

 日本で最初にゴジラを作った人は利光貞三さんだ。粘土で雛型を作り、人が入るぬいぐるみを作った。利光さんこそ日本の怪獣着ぐるみ界の神である。その後、多くの怪獣作りの神が誕生するが、利光さんは別格だ。

 利光さんが作ったゴジラを受け継いで、たくさんのゴジラぬいぐるみが作られてきた。ゴジラにはゴジラをカッコ良く見せる黄金比率がある。肩のラインから真っすぐ横と真下にラインを引き、背びれの一番大きい部分から真下にラインを引く。その時にできた四角形でゴジラのシルエットのカッコ良さが決まる。

 その他、ゴジラが美しく見える首から肩のライン(正面から見て)、これも大切だ。このラインを美しく見せるには、頭の大きさ、首の長さも大切になる。これらがゴジラの良さを引き立たせる事をハリウッドは学んでいなかったのではないか?

 利光さん、安丸信行さん、小林知己さん、品田冬樹さん、若狭新一さんの作った着ぐるみ、竹谷隆之さんの作った雛形をリスペクトし、なぜゴジラという怪獣が多くの人々に愛され、カッコ良いと思われるのかを学んでからゴジラのデザインをして欲しかった。そして、そういったゴジラでなければ版権元の東宝もOKを出さないで欲しかった。

 どうデザインしようが自由だが、先人をリスペクトせず、カッコ悪いゴジラデザインをするのは罪である。もしも今回のゴジラがもっともっとカッコ良かったら、商品の売れ方も違うだろう。ただ、そのおかげで自分は無駄にフィギュアを買わないで済んでいる。もしカッコ良いデザインをされていたら、破産するほど玩具を買っているだろう。

 最後は文句を書いたけど、ちゃんとお金も使っているし、人生のほとんどをゴジラに費やしているし、毎日ゴジラの事を考えて生きているので許して欲しい。

 ちなみに『キングコング対ゴジラ』には続編の企画があった。当時作られた貴重な企画書を持っているのだが、怪獣グッズ部屋のどこかに埋もれてしまい、現在行方不明。発見できた時にご紹介したい。何はともあれ、怪獣映画は劇場の大スクリーンで鑑賞して下さい。迫力が違うので。

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