人気オンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」と4月文楽公演(大阪・国立文楽劇場、25日まで)がコラボレーションを実施し、ゲームキャラクター「刀剣男士 小狐丸」の文楽人形を展示している。同劇場の宣伝担当・小木曽氏に人形鑑賞をさらに楽しむための注目ポイントを聞いた。
「同じものを作るんだったらフィギュアで十分なんですけど、うちは文楽人形なので。『文楽人形じゃなくてフィギュアじゃないか』と言われないように、きっちりと文楽人形のセオリーは守った」と出来栄えを語る。
文楽人形は「かしら」と呼ばれる頭部や「鬘(かつら)」と呼ばれる髪、衣装など、豊富な種類の既存パーツを公演ごとに組み合わせ出来上がる。古典的な人形と現代のキャラクターとでは異なる点が多くあったといい、中和点を探りながら製作された。
シルエットは文楽人形らしい仕上がりに。キャラクターの「刀剣男士 小狐丸」は、高身長でシャープな体型であるのに対し、人形版は「むっちり」とした身頃になった。これは美の価値観が異なる江戸時代の作り方を踏襲しているためだ。
右肩にある鎧は、既存の小道具の中から「女武者」の役に使われるものが選ばれた。「男物の鎧をつけるとかなりゴツいんですね。こっち(キャラクター)はシュッとしていますから、それに合わせるために違うデザインにしてみた」と語る。かしらは「佐助(さすけ)」という種類で、「ハンサムなイメージに近いかしらを選んだ」という。
伝統にはない要素を取り入れ、キャラクターに寄せた部分もある。通常の文楽人形では「人間でない、霊的な次元が高い人の目は金色」だが、今回はキャラクターの赤い目を再現。金箔を貼った上から赤で着色し、深みのある色を表現した。
さらに鬱金(うこん)色の衣装やキャラクターのチャームポイントでもあるモフモフの長髪は、通常の文楽に登場しないパーツのため新たに製作された。腰まである髪はヤクの尾の毛を1本ずつ長くつないで作られ、衣装は布を染めるところから製作されたという。