飼主を救った昭和のスーパーキャットがいた 火事だ!猫が大声で「ニャアニャア」高級カツオブシ2本など贈呈

穂積 昭雪 穂積 昭雪
画像はイメージです(gumpapa/stock.adobe.com)
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 空気が乾燥し火事が多くなる季節である。火事にまつわる「奇談」は数多いが、まさかの動物が火事を未然に防いだという記録がある。

 1982年(昭和57年)1月27日深夜、東京都調布市の某マンションで火事が発生。飼主のピンチを救ったのはなんと飼い猫だった……!飼主のピンチを救ったのは「チャッピーちゃん」と名付けられたメス猫で、この猫はアパート前の草むらで保護された元捨て猫だったという。

 当時の記事によると飼主の男性は深夜1時ごろに、調布市内の自宅アパートに帰宅。部屋が冷え切っていたためベッド近くの電気ストーブを付けた後に風呂を沸かして身体を温めていた。だが、酒に酔っていた事もあり男性は風呂の中で1時間半ほど寝てしまった。その間、電気ストーブの熱からベッドに火が付いてしまったのだ。

 火事に気が付いたチャッピーは風呂場のガラス戸の向こうで「ニャアニャア」と大声で鳴きはじめ、その声に男性が起きた事で火事を未然に防ぐことができたという。1月30日には地元の調布消防署からチャッピーへ「火事を未然に防いだ」と感謝状が贈られることとなり、感謝状に加え高級カツオブシ2本に新品の首輪が贈呈された。「捨て猫が飼主の命を救った」というこの珍事件は、全国紙(読売新聞、毎日新聞)にも取り上げられており、当時それなりに話題になったようだ。

  一般的に猫は「自由で気ままな性格」とされており、犬ではなく猫が人命救助を行う例はかなり珍しい。記者は当時の報道を手掛かりに調布市の事件現場へと出向き、「チャッピーちゃん」に詳しく知る人がいないか訪ねてみた。残念ながら、40年前の話であるためチャッピーちゃんがその後どうなったのか知る人には出会えなかったが、調査の際には調布市という場所には古くから猫に関する不思議な伝説が残っている事が知れた。

 『調布市史民俗編』(調布市市史編集委員会)には、明治生まれのある男性の知るお話として「猫の踊り」という不思議なお話が収録されている。江戸時代の調布には「弁天様の山」と呼ばれる山があり温かくなると、又兵衛、佐治兵衛、モックリ兵衛という名前の猫3匹が呑気に歌と踊りを楽しんでいたという。その歌詞は「佐治兵衛が来なけりゃ、モックリ拍子が揃わねえ」という奇妙なものであった。当然、このお話は民話のようなものであるが、調布の住民は昔から猫を人間のように扱っていたのかもしれない。

 余談だが『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるは50年間、調布市に住んでいた事で知られるが『鬼太郎』に登場する妖怪・猫娘は、調布下石原八幡神社の本殿の軒下に住んでいるという設定がある。思えばチャッピーちゃんもメス猫であり、もしかするとチャッピーちゃんは調布に長年住んでいた「猫娘」だったのかもしれない。

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