港、岬、浦、浜、瀬…海辺を連想させる漢字が入った地域は基本的に海辺にあることが多い。では、それらの地名を地図化すれば、日本の海岸線が浮かび上がってくるのではないか?もしそうなった場合、最もきれいに描ける漢字は何か?ちょっと気になる「一番きれいに海岸線を描ける漢字」を探してみた結果を紹介する。
今回の調査を行ったのは、SNSに興味深い地図やデータを投稿している、地理Bの旅(@chiri_b_geo)さん。自身が選んだ漢字にフォロワーのリクエストも含めた「浦」「崎」「瀬」「津」「鼻」「浜」「岬」「港」「湊」の9文字を調査した。
その結果、一番きれいに海岸線を描けたのは「浜」。地図を見ると海岸線がくっきりと表れており、地理Bの旅さんも「本州や北海道などの主要な陸地だけでなく、離島もきれいに地図化することができて驚きました」とコメントした。琵琶湖周辺など、内陸にも集中して存在する地域があることも見て取れる。リプライでも「すごく面白い!凄い!」や「海なし県にもあるのが興味深い…」「新潟の親不知あたりで海岸線が途切れているのが面白い」「北海道は少し薄くなるんですね」など数々の気づきが寄せられた。
各漢字によって結果はさまざま。ある程度の海岸線が描けた「港」は東北から北海道にかけてやや薄い印象。「湊」は本州がぼんやりと描け、「浦」「崎」「瀬」「津」は内陸にも多数存在するため海岸線とはならず。「鼻」は西日本で、「岬」は北海道や高知で、局所的に健闘。ただ、日本全国で安定して海岸線を描けるという点においては、やはり「浜」が最も美しかった。
ちなみに、地理Bの旅さんが調査しようと思ったのは、江戸時代に活躍した測量家・伊能忠敬がきっかけ。伊能といえば日本全国を歩いて「大日本沿海輿地全図」を完成させたことで有名。「かつて彼が海岸線を測量して日本地図を描いたことから、地名検索でも日本地図を描けないか」と調査を始め、敬意を込めて伊能の誕生日である2月11日に調査結果を公開した。「たくさんの方が地名の分布に関心を持ってくださって嬉しかったです。ぜひ皆さんにも地理院地図での地名検索を試していただきたいです」と思いを寄せた。