アマチュア芸人の大舞台「全日本アマチュア芸人No.1決定戦」が7月8日、都内の座・高円寺2で開催される。社会人、大学生、高校生以下の出場、オールジャンルOKの大会に362組がエントリー。決勝に進出する12組から、東大生と早大生コンビのナユタに注目した。
Tシャツ姿でごく普通の学生が、力みの抜けた日常会話を起点に繰り広げられる漫才。ボケの東大・オノハラ(経済学部3年)、ツッコミの早大・ホリコシ(文学部3年)はともに早大のお笑いサークルで、ハナコ・岡部大、にゃんこスター・アンゴラ村長らを輩出した「お笑い工房LUDO」に所属。昨年5月に結成し、直後のM-1では1回戦を突破し2回戦で敗退。アマの大学生としては上々のスタートを切り、学生ライブでも自信を積み重ねてきた。
オノハラは宮城・仙台二高から東大に進学。高3の文化祭でコントを人前で初めて披露した。元々お笑い好きでLUDOの配信動画もチェックしており「規模が大きく有名で、大会の成績もいい。大学は東大しか考えなかったが、入学後はLUDOに入ることしか考えていなかった」と、他大学生にも門戸を開くサークルに所属。東大より早大の方が近い下宿先を選び、お笑いのため早大に足しげく通うようになった。
ホリコシは都立駒場高時代、ハイスクールマンザイで準決勝まで進出。「プロの芸人さんにも会えて、とにかく楽しくてお笑いが大好きになった。LUDOに入りたくて受験勉強を頑張りました」。四千頭身のように、ガツガツ前に出ないスタイルを好む。他学部にも合格していたが、単位取得が比較的易しい文学部に進学。コロナ禍で対面授業の数が絞られることをプラスに捉え「積極的にオンライン授業を選んで単位を取りまくりました。空いた時間はなるべくお笑いに注ぎたかったので」と、お笑いへの情熱を燃やした。
東大にもお笑いサークルが存在する。大会やイベントでの東大生の存在感について、オノハラは「特別珍しい感じではないです。それにプロの方を見ても高学歴という肩書はもう普通になっています。ただし、東大とは関係なくネタで勝負したいですね」と語った。〝東大生が~〟〝東大生なのに~〟といった枕詞が必要なネタには距離を置く。漫才づくりはホリコシと一緒に、言葉遊びを拡張させるスタンスを基本に取り組んでいる。
そんなオノハラのスタンスに、ホリコシは「高学歴芸人は多くても、プロで有名な東大出身芸人はほとんどいないよね」と〝東大ブランド〟の価値を認めつつ「勉強が大変そうなので、その点はすごいと思います」と相方を思いやった。
ともに3年生。プロか、一般企業への就職を目指すかは決めていない。サークル活動では複数のコンビ掛け持ちが普通だが、ナユタで初めて大舞台の決勝進出を決めたホリコシは「進路は今回の大会や、これからの大会、次のM-1の結果を見て決めていきたい。決勝は人生初なので、頑張りたいし優勝したい。そして、どんなライブでも行くので、これをきっかけにライブに呼んでくれたら嬉しい」と呼びかけた。
オノハラは「優勝の7文字しか見てないですね」とキッパリ。ホリコシから「なんでローマ字(YUUSYOU)なんだよ」と返された。小ネタをあいさつ代わりとばかりに、決勝に向け、表情を引き締めた。
◆大会を主催する社会人お笑い協会の奥山慶久代表「ナユタは準決勝で初めて見ましたが、キレのあるボケがお客様の爆笑を誘っていました。決勝も楽しみなコンビです。当日はMCのモグライダー、豪華な審査員も大会を盛り上げてくれると思います。社会人も学生も、誰が優勝するかわからない戦いになりそうです!」