WBC中国戦の真っ最中 バッティングセンターで過ごした人々「大谷の気分で」「WBC関係なく」理由を聞いた

藤丸 紘生 藤丸 紘生
大阪市内にある梅田バッティングドーム
大阪市内にある梅田バッティングドーム

 侍ジャパンがWBCの初陣を勝利で飾った9日の中国戦。現地観戦やスポーツバーの盛り上がりはニュースなどでたびたび注目されるが、バッティングセンターはどのような様子なのだろうか。今回、記者が大阪市内のバッティングセンター「梅田バッティングドーム」でプレイボールから試合終了まで取材。中国戦の真っ最中をバッティングセンターで過ごした人々に、その理由を聞いた。

 同施設では、70~150キロまでの球速を選べ、ピッチングマシンが6レーンも並んでいる。さらに、ロビーには大型テレビも設置されており、この日は当然、TBS系列で生中継された中国戦が流れていた。

 午後7時過ぎ。大谷翔平投手が先発のマウンドに上がると、ほとんどの人がバッティングを一時中断。テレビの前に集合し、固唾をのんで大谷の第一球を見守った。

 その一方で、変わらず黙々と打ち続ける人も。自営業の30代男性は「9回まであるから、最後だけ見ればいいかなって」と大谷が初回を三者凡退に抑える間もマシンと対峙。この日は「WBCは関係なく、ただ打ちに来ました」とのことで、中国戦があることも昼頃まで忘れていたという。結果的に、1人だけ黙々と打ち続ける状況になっていたことを伝えると「たしかに、そうでしたね(笑)」と苦笑いしつつ「全てのレーンが空いていて、むしろラッキーでした」と前向きに振り返った。

 午後8時ごろ。この頃になると「試合を観戦しつつ、攻守交代の間にバッティング」というサイクルで動く人がちらほら。仕事帰りの60代男性は週に2、3回ほど同施設を利用。テレビ観戦からのバッティングには「気分が上がります!ノってきますよね」とやみつきのようで、日本シリーズなど大きな試合の日には同施設を利用しているという。もともと右打ちも「右に飽きた」と今ではスイッチヒッター。大谷とは「全然レベルが違う」と謙遜しつつも、痛烈な打球を左打席でもかっ飛ばしていた。

 午後9時ごろ。20人を超えるほどの盛況となるが、試合に注目しているのは約半数ほど。飲食店勤務の20代男性は「家にテレビがないので」と観戦が目的。ただ、試合を見ていると学生時代、野球に打ち込んだ血が騒ぐのか打席へ直行。「いつもと全然違いますね。大谷の気分で打席に立ったり、一緒に戦っている感じ」と明かした。その魅力の虜になったようで「また(試合がある時間帯に)絶対、行くと思います」と話した。

 午後10時50分ごろ。営業時間終了の約10分前となって、ようやく試合終了。最初から最後まで同施設内で過ごした人はいなかった。また、全てのゲージが空いたのは、八回2死満塁で迎えた大谷の打席時の1度だけだった。

 同施設のスタッフに話を聞くと、集客は通常時の同時間帯と比較して、ほぼ同じか、やや少ない程度。客層については「野球経験者と思われる方が、いつもより多い印象」だという。ちなみに、バッティングセンターに勤務するだけあって、大の野球好きで「歓声が聞こえるとちょっと(試合展開が)気になりますけど、お客さまの方に目を向けておかないといけませんので」と誘惑に耐えながら業務にあたっていることを明かしてくれた。

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