2022年の話題アニメ「リコリス・リコイル」 ファンアートが広がり続け、放送後も勢い衰えず

松田 和城 松田 和城
「リコリス・リコイル」ポスタービジュアル©Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11
「リコリス・リコイル」ポスタービジュアル©Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11

 2022年も多くのアニメ作品が放送された。記者もさまざまな作品を視聴したが、中でも印象深かったのは7月からTOKYO MXなどで放送された「リコリス・リコイル」(リコリコ)だった。

 作品は日本の平和を守る秘密組織「DA」のエージェント「リコリス」でありながら、表向きは普通の和カフェ「喫茶リコリコ」で働く錦木千束と井ノ上たきな、凹凸コンビの日々を描くオリジナルアニメ。戦闘シーンでのガンアクション、二人を含む魅力的なキャラクター、その関係性の丁寧な描写などが好評だった。特に、千束とたきな、二人の絆が徐々に深まっていく過程に夢中になったファンは少なくなく、原作を持たないオリジナル作品ながら、大ヒットを果たした。

 また、公式ツイッター(@lycoris_recoil)とは異なる、作中に登場する喫茶店の〝カフェアカウント〟「喫茶リコリコ(@LYCO_RECO)」では、本編に描かれていない日常のワンカットやキャラクター同士のやり取り等が更新され、作品の世界観により深く没入させる役割を担い人気を誇った。アニメ最終話放送後も不定期ながら更新が続いており、25日には店内で千束とたきなたちが、クリスマスパーティーを楽しむ様子が投稿され、ツイッター閲覧数は544万回以上を記録している。

 記者がアニプレックスの担当者に〝カフェアカウント〟に関する取材をした8月下旬、「喫茶リコリコ」のフォロワー数は約15万人だったが、12月30日現在では38万人超と倍以上に増加。アニメ放送が終了するとコンテンツの勢いが衰え、そのまま下火に向かうケースが少なくないが、「リコリコ」では放送終了から3カ月が経過した今でも多くのファンによるイラストがSNSに投稿されている。勢いが衰えない理由について考えていると、取材でのあるやり取りを思い出した。

 「リコリコ」はイラスト・漫画などの投稿や閲覧が可能なサービス「pixiv」で公式アカウントを開設し、設定や原画など、本編制作資料を公開している。宣伝プロデューサー・アニプレックスの高橋里美氏は「ファンアートが広がればいいなと、少し狙ったところが実はありました」と説明。1話から最終話までの原画、キャラクター、衣装、美術設定など投稿数は136に及んでいる。「絵を描きたい、みたい人たちのコミュニティの中に、作品側がオフィシャルでアカウントを立てるのは一番わかりやすいかなと思いました」。現在も、ツイッターで「#リコリコ」と検索すると最新のファンアートが並ぶ。「pixivのアカウントが全て作用したとは思っていないですけど、結果的にファンアートもかなり多く見られるのでやってよかったと思います」と語っていた。

 12月30日、31日には東京・国際展示場でコミックマーケットが開催中。「冬コミでは今年話題になった作品ほど出展、コスプレの数が増える」と言われることも。30日には「リコリコ」のキャラクターデザインを担当した、いみぎむる氏のブースに関して、ネット上で「列ヤバイ」「リコリコ列長すぎて無理w」「2時間並んでも無理そうな列だった…」などの報告が見られた。

 来年には1月7日から15日にかけて、舞台「リコリス・リコイル」の上演が東京・天王洲銀河劇場で予定されている。〝リコリコ人気〟はまだまだ続きそうだ。

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