「マイクケーブル8の字巻きグランプリ」が話題 「芸術面」を評価 全国の精鋭がしのぎ削る

 今月1日に東京ビッグサイトで行われた、ケーブル巻きの芸術性を競う「マイクケーブル8の字巻きグランプリ2022」がネット上で話題になっている。審査のポイントは「速さ・確実さ・美しさ」。マニアックな競技会の様子を運営の一般社団法人日本音響家協会に聞いた。

 「8の字巻き」とは「8」を描くようにケーブルを巻く方法で、音響に携わる人にとっては基礎中の基礎ともいえる重要な技術のひとつ。同大会では、U字に置かれた10メートルのマイクケーブル2本を「速く」「確実に」「美しく」巻く技術の「芸術面」を3名の審査員が採点する。

 日本音響家協会の八板賢二郎会長によると、高評価のポイントは「輪の大きさが同じになっていること」。かつては長さを判別しやすい”1周1メートル”の巻き方がよしとされていたこともあるというが、大会では問わない。上手な8の字巻きは線が痛まないだけでなく、「両端を持つとバーっときれいに広がる」と、解きやすくスムーズに配線できる利点もあるという。

 同大会は「いつも表に出ない裏方さん」の「ハレの舞台」として2008年にスタートし、今年で8回目。ライブ・エンターテインメント業界では名の知れた存在だ。今年は業界専門の展示会「ライブ・エンターテイメントEXPO」内で行われ、協賛にはライブ業界の社名がずらりと並ぶ本格的な催しになった。

 1日の大会では、予選と決勝戦を同日に行った。16名の予選を勝ち抜いた3名と、各地の協会支部から推薦された3名の計6名が決勝を競い合った。北海道や北陸から出場する支部の推薦者には、協会本部が東京までの旅費を負担し真剣勝負をサポートした。

 前回準優勝だった、舞台関係職の藤木理成さんが優勝し、大会出場のために協会に新加入し北陸支部の推選を受けた竹内裕哉さんが初出場で準優勝に輝いた。八板会長は藤木さんの8の字巻きを「きれい」と絶賛。「(前回は準優勝だったが)今回は慌てないで落ち着いていました。遅くてもきれいに巻こうというのがあったんじゃないかな。それでも速かった」と評価した。なお、スピードだけでなく美しさなどを総合的に審査するため、巻き終わりのタイムは非公表だという。

 優勝者には金メダルと賞金10万円、準優勝者には銀メダルと小型Bluetoothスピーカーを贈呈。決勝進出者には専門知識が詰まったロングセラー本「プロ音響データブック」(リットーミュージック)が配られた。

 昨年は開催を見送ったが、「コロナ時代でも仕事が来たらやるだろ。そのつもりでやろうよ」と、コロナ禍で打撃を受けたライブ業界の再起と重ね今年の実施を決めた。来年は6月下旬頃の開催を予定している。

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