TOKYO MX、MBSなどで放送中のテレビアニメ「パリピ孔明」(毎週火曜深夜)のオープニング主題歌「チキチキバンバン」が注目を集めている。YouTubeで公開されているノンテロップオープニング映像の再生回数は7日現在、912万回を突破。ハンガリーのクラブミュージックをカバーしており、その中毒性の高い歌詞や笛の音を入れた中華風アレンジで人気を博している。同楽曲に携わった制作陣がよろず~ニュースの取材に応じ、ヒントになった話題曲の存在からDA PUMP「U.S.A.」を目指した経緯まで大ヒットに至った〝計略〟を明かした。
何度も繰り返される「チキチキバンバン」「チキチキチャンチャン」というフレーズ。思わず口ずさんでしまうような中毒性が視聴者を魅了する。「頭から離れない」「気づいたらリピートしてる。これは孔明の罠だ」とユーチューブのコメント欄では好評。ハンガリー人の歌手・JOLLYが歌う原曲「Bulikiraly」をアニメのために結成されたスペシャルユニット・QUEENDOMの5人がカバーしている。
「エイベックス・エンタテインメント」セントラルプロモーショングループ・ゼネラルマネージャーの木村憲一郎氏は、自身が関わっていたテレビアニメ「妖怪ウォッチ」の主題歌「ゲラゲラポーのうた」「ようかい体操第一」からヒントを得たと話す。「『ゲラゲラポー』『ヨーでるヨーでる』というようにワンフレーズを何度もリピートする中毒性の高さ。そういうカラクリに近い楽曲がたまたま見つかったんです。『カバーしたらおもしろいんじゃない?』と、ノリと勢いで決めた部分もありましたね」と明かした。
現代日本に転生した三国志の天才軍師・諸葛孔明が、ダンスミュージックが鳴り響く渋谷のクラブを拠点に、2度目の人生を謳歌する姿を描く同作。主題歌を決める際、もともと原作漫画のPVでEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を使用していたように、作中の雰囲気に添った「古き良きダンスミュージック」を模索したが、順風満帆には行かなかった。木村氏はユーロビートのサウンドを継承し大ヒットした「U.S.A.」を超えるインパクトを求め、500曲以上聴きこんだが、納得いく曲と出会えなかったという。「『U.S.A.』を超えるには同じユーロビートの路線だと考え、曲を探していたんですが・・・常人には無理でした」と顔をしかめた。洋楽に視点を移し、前述の原曲に決定。遊び心を忘れず「U.S.A.」同様に空耳を用いてアレンジすることを決めた。「ダンスミュージックなのでおもしろくみなさんに踊ってもらうのが1番の宿命でした。そういった流れから良い作品ができたのかなと思います」と自信を見せた。
作詞を担当したRUCCA氏は空耳について、言葉選びの観点で〝制約の塊〟だったと振り返る。原曲の子音から母音まで把握し、取捨選択を繰り返して音を合わせ、新たに「パリピ孔明」の物語に合致した言葉を探す必要があった。「僕の好きなフレーズは、ラップパートの『8時間!?』なのですが、この空耳を成立させたいがために、前後関係を調整するのにすごく苦労した記憶があります」。「存分に“パリピ感”を出してほしい」というオーダーに応えるべく、遊び心満載で書いた。「完成したQUEENDOMのカバーも素晴らしいの一言ですが、JOLLYさんの原曲も聴きながら日本語詞に注目していただけると、より楽しめると思います」とコメントを寄せた。
木村氏は主題歌をきっかけに、原作に興味を持つ人が増える相乗効果に期待を寄せている。「運動会とかでネタにしていただけるとどんどん広がっていく。社会現象になるところまでがんばりたいなと思っているので、みなさんに歌う、踊るだけでなくいろんなところでこすってほしい。それだけツッコミどころが多い楽曲なので、ぜひぜひみなさんに愛されてほしい」と言葉に力を込めた。