給付金4630万円の誤送信問題 返還しないとどうなる?お金の「下ろし方」で罪状が3種類 実刑の可能性も

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
写真はイメージです(R-DESIGN/stock.adobe.com)
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 山口県阿武町が、463世帯分に相当する新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を誤って1世帯に振り込んだ問題で、男性側が返還を拒否して話題となっている。返還しなかった場合、刑法上はどういった罪になるのか。弁護士法人・天音総合法律事務所の正木絢生代表弁護士が、よろず~ニュースの取材に応じた。

 正木弁護士によると、今回のケースはさまざまな解釈が考えられるが、振り込まれた給付金をどのように扱ったかで、罪状が異なるという。「(銀行などの)窓口で下ろした場合は詐欺罪、ATMで下ろした場合は窃盗罪、他の口座に送金した場合は電子計算機使用詐欺罪が適用されると考えられます」と説明した。

 いずれも10年以下の懲役で、罪の重さに大きな差はないという。正木弁護士は「仮に1円も返さなかった場合、金額が大きいこともあり、実刑の可能性もあるのではないでしょうか」と分析。返還された場合については「理論的には起訴することは可能でしょうが、仮に全額返還されれば起訴猶予となるでしょう。起訴された後に返還しても、無罪ということにはならない。全額返還でなければ、罰金刑か執行猶予ということになると思われます」とした。

 町は現在、男性に対して返還を求めて提訴している状態。正木弁護士は「民法第703条に基づく不当利得返還請求」とした上で、「こちらは返還しなかった場合、判決までの間の遅延損害金を上乗せして請求されることになります」と解説し、「いずれにせよ、相手側の過失で振り込まれたとしても、返還しなくていいということにはなりません」と断じた。

 当該男性の代理人弁護士は16日の会見で、男性が振込金を使ってしまい、返還が困難な状況だと説明。「訴訟で何らかの解決が図れるように検討したい」と語っており、行方が注目される。

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