社会現象になった昭和期テレビドラマの1つがTBS系「3年B組 金八先生」だ。その第2シリーズ(1980年10月-81年3月放送)では「腐ったミカン」というセリフが流行語になったが、その言葉を体現した不良少年「加藤優」を演じた俳優で会社員の直江喜一と同級生「迫田八重子」役の女優・川上麻衣子がタッグを組み、50代のロックミュージシャンたちと共演するトーク&ライブイベントが実現する。「腐ったミカンの方程式 ~41年目の解答~」と題し、3月25日に東京・新代田のライブハウス「FEVER」で開催。川上が、よろず~ニュースの取材に対し、ライブ実現の経緯を明かし、さらに、その前に出演する舞台公演への思いも語った。
マサル&ヤエコの〝3年B組タッグ〟とコラボするミュージシャンは、ソウル・フラワー・ユニオン(SFU)の奥野真哉、ザ・コレクターズの古市コータロー、怒髪天の坂詰克彦、フラワーカンパニーズのグレートマエカワと鈴木圭介、真心ブラザーズのYO-KINGの6人。多感な少年期にドラマと接したリアルタイム世代だ。
経緯について、川上は「昨年、私のホームページにソウル・フラワー・ユニオンの奥野さんからオファーがあり、楽しそうだなと思い、『ぜひに』とお受けしました」という。奥野はSFUの前身バンドであるニューエスト・モデル時代からキーボードを担当し、一方でウルフルズや小泉今日子、布袋寅泰、渡辺美里らのサポートなど幅広く活動。その行動力から川上に直接打診し、夢の共演が実現した。
伝説化しているドラマについて、川上は16年にデイリースポーツで連載したコラムで「その内容が校内暴力を扱っていたこともあり、反響は大変なものでした。平均視聴率も何度か30%を超えましたが、当時の中学生だけの視聴率でいうと90%を超えていたかもしれません。同世代の方がいまだに思い入れがあるのは分かりますね」とつづった。6年後の今回、まさに、その同世代が集結する。
放送当時の反響はすさまじかった。川上は同コラムで「ロケバスでの移動中もカーテンを閉めて、外からばれないようにするのが鉄則という時代でした。東京・荒川の土手のロケ現場には、たくさんの人だかりができ、ガードレールはファンの方々からのメッセージや落書きであふれていました。また、当時はテレビ局の入り口にもファンの学生たちが殺到し、その騒ぎが収まるのをテレビ局の中でじっと見つめていた私たちは、まさに『檻(おり)』の中にいるようでした」と撮影時のエピソードを振り返った。
41年後の春、ライブを前にリハーサルを行なった。川上は「ミュージシャンの方たちとは、そのリハーサルで大変盛り上がりました。もったいないので本番まで懐かしい話は封印することにしました」と明かし、「当日は、八重子(私)と優(直江喜一)が金八当時のセリフを再現したり、私のデビュー曲『白夜の世代』と(同級生・赤上近子役)伊藤つかさの『少女人形』を歌います」と予告した。
放送終了の81年3月当時、18歳だった直江は59歳に、15歳だった川上は56歳になった。
川上は「直江さんのライブに私が飛び入りしたことはありますが、こうした企画は初めてです。直江さんとは先日リハーサルの後、久しぶりに飲みましたが、2人とも本番をとても楽しみにしています。『腐ったミカンの方程式』、とにかく面白くなると思います!チケットは瞬殺完売でしたので、リモート配信でぜひご参加ください」と呼びかけた。
また、川上は17日から21日まで東京・浅草花劇場で上演される「home」に出演。08年にヒットした歌手・木山裕策の曲にインスパイアされた舞台となる。
川上は「私の役は3人の息子を女手一つで育てている母ちゃん!イケメンの3人息子に囲まれて、毎日楽しく稽古しています。木山さんの歌の通りに暖かい物語にしたいと頑張っています」と抱負。さらに、「舞台は昨年末、ジャズシンガーを演じた『いつかAトレインに乗って』に続いての公演です。昨年末、久々に舞台に立ち、なんとも言えず全身から悦びがあふれる感覚がありました。表現できる場があることへの感謝を改めて感じています」と意欲的だ。