相続の不公平をなくす方法とは、看病を引き受けたのに同額なんて納得できない!

平松 まゆき 平松 まゆき
写真はイメージです(matsu/stock.adobe.com)
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 相続に関するいくつかの特別なルールについて説明します。

 まず、相続は遺言がある場合を除き、各相続人が民法所定の割合で遺産を取得するのが原則です。

 しかし、例えば亡くなった人(被相続人)が生前に、相続人の1人だけに家を与えたり、大金を渡したりしていた場合はどうでしょう。このような場合でも、民法所定の割合どおりに、さらに遺産を分け与えなければならないのでしょうか。

 このような不公平を調整すべく、民法は「特別受益」という制度を用意しています(民法903条)。たとえば被相続人が1000万円を残して亡くなり、相続人は子であるAとBの2人だったとします。もし生前、Aだけが被相続人から500万円の贈与を受けていたとしたら、Bはその500万円を遺産に戻せと主張することができます。そして1500万円とみなされた遺産を750万ずつ分けますが、Aはそこからすでにもらった500万円を減額されますので、最終的な取得額はA250万円、B750万円となります。

 さて、ここまでが「もらいすぎ」の不公平を調整する制度でした。では反対に「もらわなさすぎ」の不公平はどのように調整できるでしょうか。たとえば、生前、被相続人の看病を一手に引き受け遺産の費消を防いだり、事業を手伝ったりして被相続人の遺産を増やすのに多大な貢献をした相続人がいるとします。こうした場合には、頑張った相続人の特別の寄与を相続において評価してもらう「寄与分」という制度が用意されています(民法904条の2)。

 先ほどと同じように、被相続人が1000万円を残して亡くなり、相続人は子であるAとBの2人の場合を想定します。被相続人が亡くなる前の数年間、Bは自分の経営するアパートの一室に被相続人を無償で住まわせており、その賃料相当額が数年間の合計で200万円だったとします。この場合、1000万円から200万円を引いた800万円が遺産であるとみなされ、それを400万円ずつに分けますが、Bは200万円の寄与分を取得できますので、最終的な取得額はA400万円、B600万円となります。

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