名作漫画「ねじ式」フィギュア制作 つげ義春長男からの賛辞に感激「夢の様な気持ち」

山本 鋼平 山本 鋼平
フィギュア「ねじ式」の主人公
フィギュア「ねじ式」の主人公

 日本漫画史に輝く、つげ義春の傑作「ねじ式」のフィギュアが6日、世界最大の造形・フィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)2022冬」で販売された。制作したオデさん(47)は、来場したつげ義春のひとり息子・つげ正助さんから賛辞を寄せられ「夢の様な気持ちです」と感激した。

 千葉・幕張メッセの出展ブースの一角で、存在感を放つフィギュアがあった。1968年に発表され、今なおファンが多い「ねじ式」だ。開場から1時間で用意した30体が完売。ウマ娘やゴジラなど有名作品のフィギュアとは異なり、まじまじと不思議そうに見つめる来場者の姿が印象的だった。15年ほどの造形キャリアを持つオデさんは「許可をいただいて、再び『ねじ式』つくることができてうれしいです」と喜んだ。20年冬以来となる第2弾。今回はつげ作品から「デーンさ」のシーンを立体化した「長八の宿」のジッさん、「李さん一家」「蟹」の両作品に登場する李さんの表情やポーズを立体化した新たな2作品も販売した。

 20年冬以前にも「ねじ式」の制作許可を求めたが関係者から断られていた。しかし、その後、つげ義春のマネージャー役を務めるようになっていた長男・正助さんを通して許可を受けた。「ワンフェスで出展するには作品名とキャラクター名が必要なのですが、ねじ式の『ぼく』で申し込もうとしたら、彼に名前はありません、と話されました。考えた末に『主人公』に落ち着いたことがありました」と思い出を語った。完成後、正助さんを通じてつげ義春から「すごくよくできている」とねぎらわれたという。「うれしいというより、夢の様な、本当に起こった現実なのか、という気持ちになりました」。幻想的でありながらリアルさや真実みを感じる唯一無二の存在、という、つげ作品の読後感と同じ感慨を抱いたという。

 そんな取材中、正助さんが出展ブースにサプライズで登場。正助さんはまじまじと3作品を見つめ「漫画は二次元で、作品には登場していない後ろ姿までも、よく再現されていると思います。これは想像して作られたのでしょうか」と語ると、オデさんは「ウソはつきたくないので、コマの隅々を見て作りました」と答え、正助さんは「よくできていると思います」と話した。一連の出来事を受け、オデさんは再び「夢の様なきもちです。本当に起こった現実なのかな」とつぶやいた。

 大友克洋の大ファンだったオデさんは30代初め、大友作品に「ねじ式」が登場していたことから〝本家〟を初めて読み、つげ作品に感銘を受けた。全集をそろえ、全作品を読みこんだ。造形作家としては2012年から大友克洋「AKIRA」を立体化し注目を集めた。20年冬からのつげ作品。新たな作品、名場面、名キャラクターの再現が期待される。愛知県で働きながら、フォギュア制作を続けるオデさん。作品はワンフェスでの対面販売のみだが、今夏のワンフェスで再び出展する予定だという。

 

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