「すみませんが、皆さんの使っている塩は呪われています」
衝撃の投稿がXで話題を呼び、27万以上のいいねを獲得している。
オカルトやスピリチュアルな話かと思いきや、由来は日本書紀だそう。
逆に日本で唯一の呪われていないとされる塩「角鹿の塩」は、現在の福井県敦賀市で製造されている。若狭湾のミネラル豊富な海水を使用し製造される塩は高品質で、飛鳥・奈良時代には貢納品として平城京や藤原京に収められていたそう。製造する株式会社津田伊右衛門の隨原さくらさんに詳しく話を聞いた。
――”呪われていない”塩の歴史的な由来について教えてください
隨原:日本書紀のお話が由来です。8世紀、国を支配しようとした平群真鳥大臣が、首都での政治的陰謀と報われない愛により復讐に燃え、最終的に殺される直前に日本のすべての塩に呪いをかけ、食べられないようにしたと記されています。自分の死後、呪われた塩が天皇の食卓に届くことで滅亡を期待したとか。大臣はありとあらゆる地名を挙げたのですが、幸いなことに角鹿だけ言い忘れたので、呪われていない塩となったそう。そのため、天皇が食べても安全な唯一の塩だと言われてきました。
――せっかく呪いを免れた角鹿の塩が、絶滅の危機だったそうですね。
隨原:日本海に面した福井県敦賀では古墳時代より「土器製塩」による塩作りが行われてきましたが、時代の流れとともに一時は製塩に携わる人もいなくなり絶滅状態となっていました。
ですが、社会問題やコロナ感染症など多くの不運を感じることも多い現代。奇跡的に呪われなかった強運を持つ角鹿の塩で希望を見出して欲しいと思い、復活の活動を行い、販売ができるようになりました。
――呪い以外に一般的な塩との違いは?
隨原:敦賀湾の海水のみを使用し、伝統的な製法を受け継ぎながら現代の技術を取り入れつつ製造しています。低温でじっくり煮詰めるのがこだわりです。「角鹿の塩」は人体に必須なミネラルを多く含んでおり、塩味だけではなく旨味や甘みを感じられるのが特徴。マイルドな味わいのため、どのようなお料理にも合い、呪われていない塩としてお清めにも使っていただいています。
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SNSでは「オカルト・スピリチュアルかと思ったら日本書紀か…」「塩分取りすぎで高血圧になるのは呪いのせい?」「今更教えてもらってもどうしようもない」「呪われている上、クレイジーソルトを使っているのだが?」などの反響が寄せられた。実際にそんな出来事が起こった可能性は低いが、角鹿の塩が美味しいからこそ生まれた伝説だろう。普段食べている呪われた塩とどう違うのか。是非一度味わってみては。