大河『べらぼう』あえて“事故物件”に住んだ平賀源内の悲劇 殺人事件と不死伝説 識者が語る

濱田 浩一郎 濱田 浩一郎
画像はイメージです(freehand/stock.adobe.com)
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 NHK大河ドラマ「べらぼう」第16回は「さらば源内、見立は蓬莱」。安田顕さん演じる平賀源内(1728〜1780)の死が描かれました。平賀源内は安永8年(1779)の春、馬喰町の大きな屋敷に引っ越しました。その巨宅の前の持ち主は盲人であったそうですが、彼は高利貸を営み「不正の利」を貪ったためついに処罰されたということです。しかもその屋敷には幽霊が出るとの話もあり「不吉」として買う者は現れませんでした。

 ところが源内は人々の忠告を聞かず「良き買い物」としてその屋敷を購入し、移り住んだのです。源内が住んでみると幽霊が出るような怪異現象は起こらなかったようですが、同年、源内の身に不幸が起こったことから、これは盲人の祟りではないかとの話も出たとのこと。では、源内の不幸とは何かというと、その年の11月、源内は人を殺してしまうのです。

 源内による殺人事件の内容については諸説あります。大名屋敷の修理を請け負った際に源内は、修理計画書を盗まれたと勘違いして大工を殺害したとの説。その時、源内は酒に酷く酔っていたといいます。久五郎(源内門人)と、丈右衛門(源内友人)が源内の屋敷に宿泊している時、3人が口論となり、源内が2人を殺傷、久五郎が負傷により死去したという説があるのです。いずれにしても源内は殺人犯として入獄することになります。そして、そのまま病を得て、12月に病死(死因は破傷風か)してしまうのです。

 さて源内は獄死した訳ですが、源義経のような「不死伝説」もあります(義経には奥州で死なず北方に逃げ生き延びたとの伝説あり)。その伝説とは、次のようなものです。源内と交流のあった田沼意次は、源内の身の上を気の毒に思い、助命しようとした。しかし、源内は法を破ったのであって簡単に助命することはできない。そこで毒薬を源内に飲ませ絶命したように見せかけて、密かに源内を出獄させた。その後、源内は意次の領地(遠州相良)に匿われる。意次失脚後は、出羽国庄内に走り一生を終えたという。しかし、これは源義経伝説と同じような根拠のない俗説でありましょう。

 ◇主要参考文献一覧 ・城福勇『平賀源内』(吉川弘文館、1971)・水谷不倒「平賀源内」『水谷不倒著作集 第3巻』(中央公論社、1974)・芳賀徹『平賀源内』(筑摩書房、2023)

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