同僚のランチ代を立て替え→後日確認→「金に細かい」とイヤミ…理不尽な相手への対応策 識者が解説

石原 壮一郎 石原 壮一郎
画像はイメージです(natashin/stock.adobe.com)
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 食事先で相手の料金を立て替えたところ、その代金を返す様子もないため、確認すると逆に嫌みを言われた場合、その理不尽な相手に対してどう対応すればいいのだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がしかるべき対処法を提言する。

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 【今回のピンチ】

 同僚とランチ。現金のみの店で、同僚に「現金持ってないや。立て替えといて」と言われた。翌日「昨日のランチ代だけど」と催促したら、苦い顔で「細かいなあ」と……。

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 人のことを「金に細かい」とか「ケチだ」とか言う人は、その本人こそが人一倍、金に細かくてケチだと相場が決まっています。この同僚も、きっとこのままウヤムヤにするつもりだったのでしょう。

 こっちとしては、すぐ催促するのも悪いかなと遠慮して、昨日は何も言いませんでした。しかし、返してくれる気配がないまま翌日になり、意を決して「昨日のランチ代だけど……」と話を切り出したわけです。

 精一杯、気をつかって、礼も尽くしたのに、まさかの仕打ち。「ふざけるな」と胸ぐらをつかみたいところですが、それをやったらこっちが悪者になってしまいます。

 理不尽な災難に見舞われた大ピンチ。さて、どう切り抜ければいいのか。

 いきなりの侮辱的な言葉にカチンと来て、「じゃあ、返さなくていいよ」と言ったら相手の思う壺。いや、ランチ代ぐらい惜しくなくても、そんな不愉快なことを言ってくる相手に得をさせたくはありません。

 ここは、あくまで冷静に対処することで、怒りなどのマイナスの感情を抑え込みましょう。まずは「ごめん。俺、おごりだって言ったっけ?」とジャブを放ちます。

 この「ごめん」は、静かにゆっくりと発声するのがコツ。そうすることで「おい、いいかげんにしろよ」というニュアンスをまとわせることができます。謝る必要がないのに謝ることで、相手を追い詰めましょう。

 同僚が「いや、言ってない」と認めたら、次の一手。「立て替えるって、どういう意味だっけ?」と尋ねます。そういう人は、たぶん気持ちよく財布を開きません。「払えばいいんだろ、払えば」などと、まるで自分が被害者みたいな態度を取りがちです。

 無事に立て替えたランチ代を取り返したら、最後の仕上げ。「いやいや、俺は別に得してないんだけど、なんか得した気持ちになれたよ。すんなり返してくれなくて、ありがとう」と皮肉をかまします。相手が苦い顔をしてくれたら、少しは溜飲が下がるはず。

 さっきの「ごめん」にせよ、この「ありがとう」にせよ、謝罪やお礼の言葉は、怒りをにじませたり、相手より優位に立ったりといった用途でも活用できます。コツを会得して、「大人の表現力」をアップさせましょう。

 こんなことをされた以上、もはやこの同僚と仲良く付き合い続けることはできません。一緒にランチに行くことも二度とないでしょう。それは仕方ないとしても、はっきりケンカしてしまうと、余計に面倒臭いことになります。かといって催促せずにおごった形になると、どす黒い感情に包まれかねません。

 皮肉をかましておくのは、理不尽な災難の被害を最小限に抑えつつ、相手にこれ以上ナメた態度を取らせないため。ま、根っから無神経なタイプで、そのへんの機微はまったく通じなくて、懲りずにトホホな言動を繰り返す可能性も大いにありますけど。

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