5日に放送されるMBS系「住人十色」(土曜、後5・00)では、「再建築できない」という変形地問題を克服して建て替えた、現代的な機能を備えた木のぬくもりあふれる伝統工法の家を紹介する。
舞台は愛知県名古屋市、住人は2人の子どもがいる4人家族。2024年に建築家である夫の地元に新居を建てた。道路から家までの距離は約40メートル、高低差も約10メートルある坂を上がった先にあるのが、伝統工法に近い形で建てた和の趣がある平屋。窓はほぼなく一見閉じた印象を受けるが、中に入ると32帖のリビングダイニングにL字の大きな窓がある。窓の外には傾斜面を活かした岩の風景が広がり自然と調和しているが…実はここ、元々は家を建てられない土地だったという。
大手住宅メーカーの同期で結婚し、夫が独立するタイミングで家を建てることに。予算1000万円以内で土地を探したところ、800万円で古家付きの変形地を見つけた。だが、道路に接する間口が狭く、40メートルも奥まったところに家がある、いわゆる旗竿地。しかも、竿にあたる細道の部分が長すぎるため、建て替えもできない「再建築できない古家」(再建築不可物件)でもあった。そこで、隣接した手前の土地を購入。竿の長さが約半分になったことで建て替えが可能に。さらに土地は交渉の末、2つ合わせて750万円で購入することができたという。
しかし、今度は家づくりで新たな問題に直面。木が好きで「伝統工法で建てたい」という建築家の夫と、「今風な家がいい」という妻で意見が対立。そこで妻も納得の現代的な機能も備えた、木のぬくもりあふれる伝統工法の家が完成したのだった。
開放感抜群のリビング。天井は檜(ひのき)と杉を組んだもので、立派な大黒柱が建つ。開口部が大きく寒さが気になるが、ロールスクリーンをサイドに掘った溝に通すという夫のアイデアによって隙間をなくし、冷気をしっかりと遮断。さらに、床暖房ではなく床下エアコンに。室内用のエアコンをそのまま床下に取り付けて、暖気を床下から家全体に送って部屋を暖める仕組みで、コストは一般的な床暖房の約3分の1だという。
木のぬくもりと機能性を兼ね備えた家。夫は「今は柱なども白っぽいですが、これもだんだんと年数が経つにつれて褐色っぽく変わっていくはずなので、そこが楽しみです」と醍醐味(だいごみ)を語る。
同番組は全国各地の「なぜこんなところに、こんな家を?」な家を訪れ、住人(アルジ)の生き方や思いをひもとく生活情報番組。MCは三船美佳と駿河太郎が務めている。