声優・岡本麻弥さん 劣等感を前向きに捉えた幼少時、朗読劇で「ガラ☆クタ」で折笠愛や山口勝平らと共演

山本 鋼平 山本 鋼平
岡本麻弥
岡本麻弥

 「機動戦士Zガンダム」エマ・シーン役、「大草原の小さな天使ブッシュベイビー」ジャッキー役などで知られる声優の岡本麻弥さんが朗読劇「ガラ☆クタ」(2月11日、東京・サンパール荒川)に出演する。周囲からの評価は低くとも、自らの個性を発揮して活躍する登場人物の姿は、自身の少女時代と重なるという。

 舞台は1980年代半ばの長崎を舞台に、“ガラクタ”の蔑称をつけられた機械オタクで中学2年生の主人公が、自身の得意能力を活用して犯罪組織と対決する青春冒険ミステリー。ヒロインのサヤカを演じる岡本さんは「私も子どもの頃、ガラクタでした。今もそうかもしれないけれど」と笑った。

 「私は未熟児で早生まれ。幼い頃は年子で2学年下の妹の方が姉に見られるくらいでした。皆ができることが、自分だけできないことが多かったんです。例えば『ハサミを借してください』みたいなこともちゃんと言えなかった。小学校1年生くらいまでは自信がなくて、おとなしかったですね。3年生の担任がいい先生で、5年生くらいではすっかりオテンバになっていました。いつも男子と一緒に遊んでいました」

 当時の劣等感は、岡本さんの感性にも影響を及ぼした。「私は皆がいいと言っているものでも、自分がそう思わない場合、皆と一緒に、と言われると不安になるんです。それは今も続いていて、不器用なのかもしれません」と自身の心情に触れた。ただし、人よりできることが少なく感じた幼少期でも「自分には価値がない、とは思わなかった。それは周囲の愛情があったからでしょう」と語り、「どんな人にも原石があって、それを磨くことで輝きが生まれる。自分にしか見えないものを表現することは、表現者としては大事だと考えています」と前向きに捉えている。

 「ガラ☆クタ」は長所よりもむしろ、短所とされる部分が光を放つ痛快な物語。原作小説を執筆し、朗読劇の企画・演出も担う剣持光さんは「近年の日本には、大人が童心に返って楽しめるようなエンタメが少ない。『グーニーズ』『幽幻道士』『ぼくらの七日間戦争』といった、80年代ティーンエイジャー映画を意識しました」と語った。

 キャスティングは当時に作品を楽しんだ年齢層を意識。岡本さんをはじめ、折笠愛(代表作「小公子セディ」「ロミオの青い空」)、山口勝平(「らんま 1/2」「犬夜叉」「ONE PIECE」)、亀井芳子(「三丁目の夕日」「レレレの天才バカボン」)、坂本千夏(「キャッツ・アイ」「となりのトトロ」「少年アシベ」)ら80年代、90年代から活躍を続ける豪華声優陣が集結する。

 なお、サヤカは、演じる岡本さんが吹き替えを担当した映画「コマンドー」のジェニー(アリッサ・ミラノ)がモチーフといい、オーバーオール姿などに反映されている。剣持さんは「岡本さんを決め打ちしてキャラクターをつくりました」と説明。思い入れたっぷりのキャストによる朗読劇が実現した。

 当日は昼夜2公演が予定されている。剣持さんは最終的にはアニメ化を目指しており、その試金石となる朗読劇と言えそうだ。

 岡本さんは「人と関わっていかないと生きる意味がありません。でも結局は他人だから、一人で生きていくしかないとも考えます。だから自分にはウソをつけません」と表現者としての信念を吐露。坂本千夏とは「グーニーズ」吹き替えで共演した関係もある。「久しぶりに共演する方もいて楽しみです。当時にほぼ同世代のように頑張ってきた声優だからこそ生まれる面白さがあると思う」と呼びかけた。

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