受験勉強のためマンション一室を賃貸、修繕工事が始まってうるさい!法的解決策は?

平松 まゆき 平松 まゆき
画像はイメージです(hiro/)
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 賃貸借や隣人トラブルなど、住まいに関する身近な法律について解説しています。

 先日、「受験勉強のために勉強部屋を借りたが、入居した翌日からマンション全体の修繕工事が始まった。音がうるさくて勉強に集中できない。なにかしらの手が打てないでしょうか。」という相談がありました。私も司法試験受験時代、勉強部屋を借りていましたのでこのご相談は身につまされました。

 結論から申し上げますと、契約時に「受験勉強のために借りる静かな部屋」とか「落ち着いて勉強できる部屋を借りたい」ということが客観的に明確になっていたかどうかによると思われます。

 と言いますのも、民法はまず、賃借人側に責任があるような場合を除き、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」と定めています(民法606条1項本文)。さらに続けて、「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。」とも定めています(同条2項)。つまり、賃借人は自分たちの使用・収益のためにしてもらう必要な修繕である以上、なにかしらの不利益が生じても修繕を拒むことはできないということになります。仮に、一時的に明渡しを求められるような大規模修繕であっても、必要である以上、それに従わなければならないのです。

 しかしながら、いつなんどきも、修繕によって被る不利益を受忍しなければならないわけではありません。民法は、「賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる」とも定めています(民法607条)。この規定に従えば、ご相談のようなケース、つまり通常の衣食住のためだけに部屋を借りるのではなく、受験勉強に静かな部屋が必要であるという特別な理由を告げていたかどうかが重要なカギとなります。このことが客観的に明らかならば、解除に加え損害賠償請求も可能となると考えられます。

 とはいえ、こういったトラブルは言った言わないの争いになることもしばしば。お困りの際は早めにお近くの弁護士等にご相談ください。

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