大河は「戦国の城」と「忍び」が俄然ドラマを面白くさせる

よろず太郎 よろず太郎
上ノ郷城跡(『ぶらり徳川家康の城跡+忍びめぐり』より)
上ノ郷城跡(『ぶらり徳川家康の城跡+忍びめぐり』より)

 NHK大河「どうする家康」が第5回までの放送を終え、現在のところ、松本潤扮する徳川家康が小大名で奮闘している。

 放送開始以来、お城ファンから今年の大河は注目されているが、お城と言っても大阪城や姫路城ではなく、天守や櫓や門もない「戦国時代の城」が話題だ。初回の盛り上がりを作り、台詞でも頻繁に登場したのが、大高城。一般の人々にはなじみのない城名だが、戦国時代はれっきとした城だった。現在の大高城は、閑静な住宅街に囲まれているが国指定の史跡となっている。

 大河ドラマ放送以来、訪れる観光客が急増中。第3回では刈谷城というマイナーな城が登場し、城ファンですらノーマークだったようで、城ファンを興奮させている。次回は「何城が出るんだ?」と放送までの1週間を楽しみにする視聴者も多い。

 2月12日の第6回放送では、第5回で家康が本多正信の瀬名奪還作戦に乗ったことで、いよいよ上ノ郷城を攻めるという前半のクライマックスを迎える。

 上ノ郷城とは、現在の愛知県蒲郡市にあった鵜殿長照の居城。長照は今川氏の味方だったので、家康は攻める。しかし堅城のため、家康は作戦にあぐねる。城は三河湾に面し、三方を山に囲まれ、城のそばを流れる兼京川が外堀の役目をなしていた。現在、この城跡も注目を集め始めて観光客が激増している。現在、上ノ郷城の城跡は、みかん畑に囲まれた中に存在しており、低い小山の上にある本丸跡からは、三河湾を見渡せる。

 もう一つ、ネットをざわつかせているのが、第5回に山田孝之が扮する服部半蔵保成の登場だ。「忍者」と呼ばず「忍び」という台詞になっている。「忍び働き」との台詞もあり何やら本格的な様相。それもそのはず、今回の大河では時代考証の他に、三重大学・山田雄司教授が忍者監修を務めている。リアル忍者の道具や活躍が期待できる。

 第6回では、忍びがどう表現されるかと忍者ファンより注目されている。リアルでは、なかなか落とせなかった上ノ郷城へ甲賀の忍び伴与七郎が忍び込み放火をし、敵城内を混乱に陥れた。その隙をつき、家康軍が攻め入った話だが、ドラマではどう描かれるのかが確かに興味深い。

 地元の蒲郡市博物館の松田繁氏は、書籍『ぶらり徳川家康の城跡+忍びめぐり』の紙面上で、「発掘調査でチップ状の炭が確認されました。(中略)忍びが関わっていたという可能性は十分考えられると思います」と語る。忍びを使った城攻めとは、今から何やらワクワクする話である。

 「戦国の城」と「忍び」が今後、大河のキーワードであり起爆剤になるかもしれない。来週には、城跡と忍びをテーマにした新刊も発売される。タイトルは、『ぶらり徳川家康の城跡+忍びめぐり』(マコト出版刊 現在はAmazonにて予約受付中)。

 今後の大河ドラマ「どうする家康」で、最終回までに私たちの知らない「城」や「忍び」が幾つ登場するかを期待しながら、大河を楽しむのも新しい見方かもしれない。

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