中国でさらにコロナ感染拡大!? 年末帰省した中国人女性に聞く「W杯の観客映像を見てマスクしなくなった」

深月 ユリア 深月 ユリア
昨年1月、コロナ禍々の中で迎えた春節祭でも、季節の風物詩として神戸・南京町周辺につるされた提灯
昨年1月、コロナ禍々の中で迎えた春節祭でも、季節の風物詩として神戸・南京町周辺につるされた提灯

 中国では新型コロナウイルス対策をめぐって大きな変化が起きている。「ゼロコロナ」政策を終了し、新規感染者数と死者数の発表を中止した。感染拡大が想定される中、さらに実態が不透明になり、国際社会からの懸念も高まっている。中国人が大型連休となる春節(21-27日)で世界的に移動することになる前に、ジャーナリストの深月ユリア氏が都内で飲食店を営み、昨年末に帰省していた40代の中国人女性を取材し、庶民から見た現地の様子を聞いた。

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 中国で新型コロナが感染拡大しているという。中国は1日当たりの感染者数を公表していないが、欧米メディアの複数の報道によると、地域ごとに異なるが50-90%もの国民が新型コロナに感染している推定だという。中国河南省の保険当局の9日の発表によると、同省の新型コロナウイルス感染率が6日時点で推計89%にも達したという。また、新型コロナによる死者も激増し「火葬場が足りない」という報道もある。

  三好医院(東京都新宿区)副院長で医学博士(小児科、総合内科)の青川昊太郎氏は筆者の取材に対して「感染が広がったのは、ゼロコロナ政策で免疫力が弱っているところで一気に規制を撤廃したこと、中国製ワクチンが弱すぎてあまり効いていないことが原因。いま、中国で流行っているのは、オミクロン株ではなく新しい株だと思われるが中国政府は発表していない。そもそもPCR検査もしていない。政府は習近平体制に対する反発を懸念し、不都合な情報を発表できない。春節に関しては、日本は空港でPCR検査や抗原検査をやっているので、過剰に心配することないが、今は中国に来ない方がよい」と見解を述べた。

  一体、何が起きているのか?筆者は都内で中華料理店を経営するA氏(40代女性)にインタビューした。同氏は12月に3週間、中国に帰省している。

 -中国でコロナ感染が激増しているのは事実か。

 「私が12月初旬からクリスマス前までに中国(南西部)の福建省に帰省した時、クリスマス前から徐々に感染は広がっていました。福建省では12月始めには皆マスクをしていましたが、(サッカー)ワールドカップの映像を見て、多くの観客がマスクをしていないため、ゼロコロナに反対するデモが起きて、クリスマス時期からゼロコロナ政策が廃止され、皆マスクをしなくなりました。中国でも日本と同様にクリスマスから年始にかけて休暇があるので、ゼロコロナ政策を廃止した時期と休暇中にあちこちに遊びに行く時期とが重なったのも感染者が増えた原因かと思います。そもそも、PCR検査を制限し、公表していないので、データでの感染率は分かりません。ただ、空気がきれいな福建省は医療崩壊もせず、被害は他地域より少ないと感じます」

  -「火葬場が足りないくらい死者が多い」「新しい変異株が流行っている」という報道に関して。

 「最近、福建省に住む私の知人2人が新型コロナに感染しました。私の周りではほとんどの人が政府が推進した中国製ワクチンを3回接種しています。少なくとも2回は打っていますね。(中国製ワクチンが効かない、という報道はあるが)この2人に関してはワクチンを接種していたからか、軽症で済みました。知人の20代男性は1日寝たら治り、40代女性は2日で治りました。2人とも、倦怠感があり、熱と咳が出て、味覚障害もありました。ただし、知人にはいませんが重症化している人も死者もいるでしょう。新しい変異株が流行っているかは分かりません」

 -中国製ワクチンに副作用があると耳にするか?

 「日本人が主に接種しているファイザー、モデルナのような発熱・頭痛などの副作用は聞きません。副作用が少ないのかもしれませんね」

 中国は情報公開をしないため、実際のデータは不明。ただ、ゼロコロナを撤廃した時期と人の出が多い時期とが重なったことにより、より感染が拡大したのは事実のようだ。

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