ADHDは暴力的だという誤解に関する投稿がSNS上で大きな注目を集めている。
「何度も呟いているんですが、『子どもがADHDで暴力を振るってしまう』という相談を受けますが、ADHDは『注意力の困難』であって、暴力や他害行為をする原因は、本人に合わない環境で過ごしたり、無理解な人との関わりによって学習した行動です。『ADHD=暴力的』というイメージは払拭していきたいです。」
と投稿したのは一般社団法人こども発達支援研究会を運営するともはる先生の投稿(@tomo_haruuu)。
ADHDは注意欠陥多動性障害という名前の通りけっして暴力的な衝動を前提としたものではなく、周囲の配慮次第でケアができる症状。ともはる先生の投稿に対し、ADHDに向き合う当事者とおぼしきSNSユーザー達からは
「めちゃくちゃ広まってほしいです。ADHDの我が子たちですが、兄弟喧嘩はあっても他害はありません。
わたしの周りに限りですが、愛着障がい拗らせてるなーという親子関係の子が暴言暴力酷く、むしろ発達っ子が標的になって攻撃対象とされてるケースが多いので、ADHDが乱暴だという認識変えたいです。」
「ほんとこれは、広まって欲しいですね...注意力と多動と衝動性三つの種類からの学習なんですよね...手を出さないで伝える方法を、学習して環境が整うとと暴力的ではなくなる。」
など数々の共感の声が寄せられている。
ともはる先生にお話を聞いた。
ーーADHDの児童が暴力に及んでしまうことは多々あるのでしょうか?
ともはる先生:残念ながら悩み事として上がってくることは多いです。
ただし「友達や家族に暴力をふるう」というのは、基本的にその子に合っていない環境で育った結果の行動です。これはADHDに限らず、すべての子に当てはまる現象です。いわゆる不良少年のような子供も、育ってきた環境で暴力が必要なければそうはなりません。
ADHDの子供は、多動・衝動性が合って先生の言うことをうまく聞けなくて怒られたり、不注意で忘れ物やケアレスミスが多くて何度も注意されます。このことを理解しないで、他の子と同じように関わったり、何度も叱り続けると、自己肯定感は下がりますし、反抗挑戦性症、行為障害といった精神症状を抱えることにも繋がります。
ADHDの子どもには元気で明るい素直な子も多いですし、周囲が特性を理解して関われば、暴力を覚えることはありません。確かにADHDには関わり方が難しいという側面がありますが「ADHD=暴力が多い」というのは間違いですし、風評被害につながりかねないので無くしていきたいです。
ーー今回の例以外にもADHDが誤解されていると思われることがあればお聞かせください。
ともはる先生:例えば「何度も言えば忘れ物は無くなるだろう」「何度も注意すれば遅刻はしないだろう」のような意見もある意味では誤解です。
ADHDは日本語では「注意欠如多動症」と言います。これは「注意力の欠如」それに伴う「多動」をもつという意味です。つまり、注意力が一般的な人よりも明らかに低いのが症状です。
よってADHDの人は明らかに、忘れ物や遅刻が多くなるのですが、なぜか「何度も叱ればできるだろう」と思われます。しかし、注意してできるのであればそれは障害とは呼ばれません。
何度も注意してできたとしても10回に2〜3回。それでも本人も努力はしています。しかし、本人が努力してやっと成功すると「叱ればちゃんと動く」と大人の方が間違った学習をしてしまいます。その結果さらに怒られるので、耐えきれず暴力や不登校などになってしまうのです。
ーーこれまでの反響についてご感想をお聞かせください。
ともはる先生:間違いに気づいたという意見が多く嬉しい反面「今、ADHDの子の暴力に悩んでいる親御さんはしんどい」という意見もありました。確かに、子供が暴力をするのはADHDのせいだと信じていたのに、それが育て方や理解不足のせいだと感じた親御さんもいらしたようなので、その点は申し訳なく思います。
だからと言って「ADHD=暴力的」だと思ってしまうのも、子供にあった環境を用意することを遅らせてしまい、将来的に良くない結果になります。少しショックを受けた方もいらしたかと思いますが、環境の重要性に目を向けていただければ、最後は親御さんにも良い影響が返ってきますので、まずは間違った認識を正していくことが重要だと思います。
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ともはる先生は一般社団法人こども発達支援研究会名義でもSNSやホームページを運営している。ADHDに関する情報を多数発信しているので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
ともはる先生関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/tomo_haruuu
一般社団法人こども発達支援研究会Twitterアカウント:https://twitter.com/kohaken_dsl