テレビ演出家・プロデューサーの井上大輔氏(43)が4月5日に公開されたYouTube番組「ReHacQ-リハック-」に出演し、テレビ界の“感覚のズレ”についてコメントした。
井上氏はTBSビジョン(現TBSスパークル)を経て、テレビ朝日に移籍し「羽鳥慎一モーニングショー」「テレメンタリー」などを担当。2019年にはNHKに移り「クローズアップ現代」「サタデーウォッチ9」などを手がけたという経歴。3月末で退局している。退局直前は額面での年収が「1200万円ぐらい」とぶっちゃけていた。
MCを担当した、テレビ東京出身のReHacQプロデューサー・高橋弘樹氏は、兵庫県の斎藤元彦知事を巡る騒動の中で浮上してきた「オールドメディア」というワードについて「何が“オールド”だと思います?」と質問した。
井上氏は、テレビが世論形成に大きな役割を果たしており、以前は「テレビと世論に大きなズレはなかった」と前提。しかし、SNSの台頭で「テレビ以外にも世論が存在」するようになったと説明した。それでも、テレビ側の人間が「昔の時代と同じく“自分たちが世論だ”と勘違いしたまま」のため、現実とズレが生じてきたと分析した。「テレビの人はテレビしか見ないから“自分たちは世論を形成してる”って勘違いしている。その勘違いが“オールド”だと思う」と持論を展開。テレビ側の人間は、SNS上の世論を自覚していないことも指摘した。
続けて、斎藤知事の問題は“ズレ”の「大きな象徴」だとした。報道側が斎藤知事を貶めようとするような陰謀論は「ない」と断言した上で「“自分たちが報道しているものが正しい”って思い込んでるから、“自分たちが一次情報として取ってきた情報は絶対に間違いないんだ”っていう驕り」があると語った。
斎藤知事に関しては、百条委員会で結論が出ていない時点で両論併記されなかったことが問題だとした。斎藤知事の出直し選挙の結果についても、メディアの予想が外れていたと指摘。SNS世論の票を読み切れなかったにもかかわらず「テレビの人たちは、いまだに“自分たちは世論だ”と思ってる人は多いと思う」と対応の遅れがあるとした。「自分たちがもう、殿様商売できる状況じゃないよっていうのを分かってんだか、分かってないんだか、本当に分からない」と首をかしげた。