日本各地に残る人魚伝説 「進化した生物」「食べると不老長寿に」「正体はジュゴン」専門家に聞く

深月 ユリア 深月 ユリア
画像はイメージです(animedigitalart/stock.adobe.com)
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 夏といえば、海。海にはさまざまな伝説の生き物がいる。その中の1つが「人魚」だろう。ジャーナリストの深月ユリア氏が日本に残された人魚伝説を紹介し、専門家の見解を聞いた。

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 毎年、夏に若い女性を中心に到来する「人魚」ブーム。「人魚」をイメージした衣服やアクセサリー、「人魚」テーマのアフタヌーンティなど、西欧風のものが多いが、実は日本にも古来より「人魚」伝説がある。

 日本の人魚は「ヒトの顔を持つ魚」として描かれていたが、江戸時代後期より西洋のようにヒトの上半身と魚の下半身を持つ生き物として描かれるようになった。

 【八百比丘尼(やおびくに)伝説

 「人魚の肉を食べると不老長寿になる」という言い伝えがあり、17歳の娘が不老になった。娘は丘尼となり、若狭などの諸国を椿の苗を植えながら巡礼し、やがて故郷に戻り800歳で亡くなった。福井県小浜市男山の空印寺には、八百比丘尼が最後を迎えた洞窟と伝えられる「八百比丘尼入定洞」があるが、 生誕地に関して三重県津市安濃町、愛知県春日井市白山町、新潟県佐渡市羽茂など諸説がある。

 【ユナイマタ(琉球の人魚)伝説

 沖縄に伝わる人魚の正体は、いま絶滅危機にあるジュゴンだという説が有力だ。古来より「ジュゴンの肉を食べると不老長寿になる」といわれていた。琉球王は不老長寿になるために「ユナイマタ(人魚)が捕らえられた時は上納するように」と命令していた。ある時、ユナイマタが捕らえられたが、母人魚に助けを求めて津浪を起こしてもらい脱出した、という逸話がある。その時の津波の後の「波が引いた後に2軒の家の跡地が池になった」とされるのが、天然記念物にも指定されている「通り池」だという。

 【人魚が洪水を予知

 沖縄の八重山諸島では、漁師に捕らえられた人魚が「逃がしてくれる代わりに秘密を教える」と懇願し、津浪の起こる日を教えてくれた。信じた漁師たちが救われた、信じなかった漁師たちは津浪にのまれた、という逸話がある。

 【聖徳太子と人魚

 聖徳太子が琵琶湖を歩いていた時に人魚に出会い、「前世で漁師だったが、無益の殺生の罪により人魚になる呪いをかけられた。呪いをと解いて欲しい」と懇願された。聖徳太子は観音正寺に先手観音像を刻み、安置したことで、人魚になった漁師は無事に人間に生まれ変わることができた。観音正寺には「人魚のミイラ」が本殿に祀られていたが、1993年の火事で喪失したという。なお、聖徳太子の伝記「聖徳太子伝暦」(917年)には「献上品の人魚を見た」との記述もある。

 【高知県土佐清水市の見残し海岸に「人魚御殿(洞窟状の穴が各所に)」

 ここには「かつて、月に照らされた美しい人魚がいた」という伝承がある。

 なぜ日本に人魚伝説が多いのか?

 スビリチュアル&ヒーリング雑誌「月刊アネモネ」編集長の中田真理亜氏に筆者が取材したところ、 「1万3千年前に太平洋に沈んだレムリア大陸の山嶺が、日本列島だという説があります。その説によると、レムリア大陸が沈む際、地底や日本に逃げた人、天空へ行った人のほか、海に潜ってイルカや人魚にシェイプシフト(変身)したという人もいて、その人たちが現代、日本に多く生まれ変わっているそうです」

 怪談氏の稲川淳二と幾度が仕事をしてきた心霊能力者で都市伝説に詳しい鈴田乃神助(すずきじゅん)氏によると、「漁船など遭難して何日も海を漂い、食料がつきた時は、死んでしまった仲間の死体を食べるそうです。人魚を食べるという話もそこからくるのかもしれませんね」「もしかしたら、イルカなどから進化した高度な生き物が存在するかもしれませんね」

 海底にはまだ我々の知らない未知の世界があり、人魚に限らず、未知の生物が生息する可能性はあるだろう。

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