1970年代に花柄のグラスで人気を博した食器ブランド「アデリア」をリメイクした新ブランド「アデリアレトロ」が他業種とのコラボレーションを連発し、カプセルトイや文房具、アパレル製品などで注目を集めている。10日には、同ブランドとコラボしたファミリーマートが「アデリアレトロ アリス~なつかしのカスタードプリン~」を発売。80社以上からコラボオファーを受け、人気が止まらない理由をブランド担当者が語った。
「アデリア」は1961年、愛知県の石塚硝子株式会社から生まれたブランド。70年代にマーガレットやチューリップなど花柄をあしらったガラスコップで人気を集めた。80年代頃から徐々に廃盤になったが、近年のレトロブームでビンテージのアデリア食器が再注目されている。ブーム再燃に気づいた若手デザイナー3名により、2019年12月に「アデリアレトロ」として復刻し、現在はレトロな柄やパッケージデザインを残しながら、コップやボンボン瓶など新品のガラス商品を作っている。
2021年7月からはアデリアの柄を使った他業種コラボ品の発売がスタート。カプセルトイや時計、文房具、バッグなど新たなコラボ商品が毎月、次から次へと発表されている。今月10日には、ファミリーマートでコラボプリンが発売された。アデリア―が食品とコラボするのは初。オレンジと黄色の花柄がプリンカップに描かれた。
相次ぐコラボに、ブランドの担当者は「ありがたいことに、こちらから声をかけたことはないんです。全て(相手企業から)声をかけていただいた」と人気ぶりを喜ぶ。これまでに80社以上からオファーを受け、30社以上(進行中案件も含む)とのコラボが実現したという。
”コラボ事業”の発端となったのは、雑貨ブランド「RYU-RYU」からの提案だった。アデリア―として絵柄を貸し出した前例がない中、急ピッチで契約書等を整備し、初のコラボ商品である文房具シリーズを2021年7月にリリースした。その後、業界向け展示会で見本を並べると20社以上から次々とラブコールを受けた。
多数のオファーを受ける中で重視することは「アデリアレトロのコアなファンの方に喜んでいただけるか」。ブランドイメージを損なう恐れのある企画を断るだけでなく、同じカテゴリーの商品が同時期に発売されないよう調整することもある。
担当者はかつて筆記具のオファーが重複したことを例に、似た商品が複数社から出るとファンを混乱させてしまうと説明した。アデリアの花柄をまねた他社商品も増えているといい、購入者が迷わないよう、”正式”なコラボ商品はアデリア―のSNSアカウントなどで紹介しファンファーストな取り組みをしていると話した。