アニメ、ゲームのファンならば行った事がある方も多いであろう「聖地巡礼」。
聖地巡礼とはアニメやゲームで物語の舞台となったモデルの土地に実際に赴くこと。近年では町おこしの一貫として自治体が聖地巡礼を先導する事も多く、その経済効果の高さから各方面で注目を浴びている。
成功例として有名なものは、アニメ「ガールズ&パンツァー」。舞台となった茨城県大洗町は同作のファンが「大洗あんこう祭り」等の観光に訪れ、2013年~14年の1年間の経済効果は約7億円にもなった。また、作中の声優達がグループを結成し「第69回 NHK 紅白歌合戦」に出場するなど注目を浴びたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」も舞台の静岡県沼津市では年間38万人もの観光客が増加したという。
そして今回ご紹介する「アマガミ」。個性豊か過ぎるヒロイン達と、それに負けず劣らず個性豊かで紳士的な主人公が織りなす甘い青春ストーリーなのだが、彼らが暮らす街「輝日東(きびと)」は千葉県銚子市がモデル。ゲーム発売から13年、アニメ放送から12年経った今でも愛され続けるストーリーの魅力はもちろん、海水浴場や夜景で有名な銚子ポートタワー、豊富な海の幸など数多くの観光資源があり、絶大な聖地巡礼効果を生み出しているのだ。
「アマガミ」が銚子市にもたらした聖地巡礼。今回、1月25日に千葉テレビの報道番組「newsチバ」でインタビューを受けていたアマガミファンで、アマガミを通じて銚子の町興しを行っている輝日東アマガミファンクラブさんにお話を聞いた。
橋本ダイスケ(以下「橋本」):長年愛され続けているアマガミですが、作品が発表された当時から聖地巡礼に来られている方は多かったのでしょうか?
輝日東アマガミファンクラブ(以下、輝日東):12年前のアニメ放送当時からいたようです。下火になった時期もありましたが、近年ゲームの実況配信や創設祭というイベントの実施により、アマガミ、アマガミSSに再び脚光があたり、巡礼者も増えてきたといった具合です。
橋本:当時から聖地巡礼の風習はあったんですね。聖地巡礼による銚子市の活気の変化についてどう感じておられますか?
輝日東:銚子市全域に活気が溢れるというよりは、交流ノートやマップを設置したことにより、お店や観光施設への集客に少なからず役立っていると感じます。活動の継続により、今後はその効果をより高めていきたいです。
橋本:銚子駅観光案内所やあづま寿司さん(主人公の親友の実家モデルとなった寿司店)に置いてあると言われている交流ノートですね。ファンの方々の熱意を知る為にも、一度見てみたいものです。長年愛され続け、今回またテレビで紹介され、注目を浴びた「アマガミ」の魅力を教えてください。
輝日東:個性的なヒロイン達と主人公との掛け合いが一番の魅力ではないかと思います。自分好みの推しの絵を描いたりグッズを買ったりするのも醍醐味のひとつですよね。
橋本:アマガミの登場人物はみな個性的ですからね。では、アマガミファンやファンならずとも抑えてほしい輝日東(銚子)の名所を教えてください。
輝日東:犬吠埼や銚子ポートタワー、地球の丸く見える丘展望館、銚子マリーナ、君ヶ浜、犬吠埼温泉、イルカウォッチングなど銚子は観光地としても魅力がたくさんあります。
橋本:温泉やポートタワーなど、ファンで無くとも楽しめ、ファンならより楽しめる魅力に溢れている町なんですね。最後に今後、アマガミの聖地としてどの様に盛り上げていくか展望をお聞かせください。
輝日東:ファンと地域の方々がアマガミを通して絆を深め、互いに楽しみながら盛り上がれるといいなと考えます。長期的にはイベント開催やオリジナルグッズの販売などもできたらいいなと思います。
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筆者も、機会があれば銚子市を訪れ、ヒロインの一人が働いたとされるファミレスで食事を取り、クライマックスシーンのポートタワーの夜景を見てみようと思う。
なお、残念なことにせっかくの聖地巡礼がファンのマナー違反などで問題となってしまう例もたまにある。巡礼を行う際は作品を愛し、地域に敬意を払い、マナーを守った謙虚な姿勢で地域の方々と交流していただければなによりだ。