ほんわかとした絵柄で4コマを書き続けるカポルさんの「残り時間4コマ」と題されたマンガが思ってたのと違うオチで面白い。
シチュエーションは、サナトリウム文学にある病床の少女のもとに、死神がやってくる。それ自体は、定番の展開だが、ここで死神が伝えてくる残り寿命がなんと「92年205日」。
少女はすでに友達や家族にお別れを済ませており、重病が治るハッピーな展開のはずが、なんと恥と共に生きることになる未来が確定した事実を伝えられてしまうのだった。
「ならどうして現れたの…っ」当然の疑問を死神に投げかける少女。死神は「めちゃくちゃな生命力の奴が薄命のヒロインみたいな言動してるんだぜ」とツッコまざるを得なかったと答えるのだった。カポルさんに話を聞いた。
ーーネタを思いついたきっかけはどんなものでしたか。
カポル:「重い病気で入院した薄命の女の子」というシチュエーションはよく見ると思います。 そういう立場におかれた場合、「人としてどのような行動を起こすのが自然か」を考えた時……、ペシミスト的思考になってゆく、つまり物事を悲観的に考えるようになっていくのではないかという発想がまず出ました。
それはいわゆる諦めの境地なので、自らの死の運命も仕方ないと受け入れ、友や家族にも自らが死ぬ前提で胸の中に秘めていた想いを全て打ち明け、死神すら見ても平然とする。…… つまり、「死神の鏡によって(残りわずかな)寿命を見せられても動じないだろう」という未来が読者にも見えるわけですね。
これは逆に言えば、「鏡を見た後に彼女が動じる説得力のある展開」があればギャグとして成立する事を意味するわけで…… とまあ、こういった思考で生まれた4コマですね。
ーーネタをどのようにして考えていますか。
カポル: 先ほど少し思考を見せた事で分かる通り、多くの人が持つ共通認識……、つまり、「あるある」をスタートとして、自然な「その先の展開」、もしくは「そこに至るまでの展開」を考える事が多いですね。これは自分に一番合っているやり方であって、多分人それぞれ合うやり方があるのだろうと思います。
ーーこのマンガの見所はどこでしょうか。
カポル:死神の「残された時間を見ても冷静でいられるかな…?」が、真逆の意味になる所が個人的に一番好きですね。 人は先入観によって、「残された時間」という言葉を「残りわずかな時間」という意味に捉えてしまうんですねぇ。
ーー投稿の反響はどう感じましたか。
カポル:やっぱりみんな平和的なオチが好きなんだなって感じますね。自分も大好きです。
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定番の流れがあるからこそ、その裏切りが面白みを生み出す。王道なギャグの作りと、ゆるい絵柄によって、ほっこりとした味わいが楽しめる作品として仕上がっていた。
カポルさんは毎日4コマ漫画をXに投稿している。毒のある面白みのある作品もあるので、覗きに行ってほしい。
カポルさん関連情報
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