新型コロナウイルス探知犬が大活躍 99・6%の精度で探知という研究結果も PCR検査の補助手段に

深月 ユリア 深月 ユリア
写真はイメージです(Dragosh/stock.adobe.com)
写真はイメージです(Dragosh/stock.adobe.com)

 新型コロナウイルス感染者が爆発的に増えている。PCR検査も追いつかない状況だが、その補助手段の一つとして、嗅覚によって感染の有無を察知できる「新型コロナウイルス探知犬」が活躍しているという。女優でジャーナリストの深月ユリア氏が米国での研究結果を紹介する。

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 世界中で猛威をふるい、我が国でも新規感染者数が過去最多を更新してしまった新型コロナウイルス。現在の新型コロナウイルスの検査方法がPCR検査であることは言うまでもない。PCR検査の代用手段にはならないが、あくまで補助手段として、一部の国で「新型コロナウイルスの匂い探知犬」が活躍しているのはご存じか。

 アラブ圏や米国のマサチューセッツ州など一部の州の空港や公共施設などで、犬に新型コロナウイルスの感染者の匂いを探知させて、ウイルスが検出した場所を特定して消毒を促しているという。

 というのも、 犬は人間より1000倍~1万倍も優れた嗅覚を持ち、1兆分の1の濃度でも物質を感知できる。訓練すれば、犬は爆発物や麻薬を探知し、容疑者を追跡し、遺体を発見できるようにもなる。

 昨今では、犬に人間の疾患を「匂い」だけで発見させる実験が数多く行われてきて、犬がガン、パーキンソン病、糖尿病、てんかん発作、マラリアなど多くの病気の患者の「匂い」を嗅ぎ分けられる事が判明した。

 例えば、米ルイジアナ州ニューオーリンズで開催された米国熱帯医学・衛生学会でロンドン大学衛生・熱帯医学大学院で疾病管理研究科長を務めるジェームズ・ローガン氏が発表した研究によると、「犬はマラリア原虫に感染している子どものにおいを70%の精度でかぎ分ける」という。

 そして、2021年4月14日付の学術誌「PLOS ONE」に米ペンシルベニア大学獣医学部のワーキングドッグ・センターの所長であるシンシア・オットー氏が発表した論文にさらなる驚くべき研究結果が発表された。なんと、「犬は新型コロナウイルス陽性者の尿や唾液の匂いを99・6%の精度で検出できる」 というのだ。

 この研究結果を受けてフロリダ国際大学のグローバル法医学司法センター(FIU)では、1993年から菌類やウイルスなどの特有の匂いをかぎ分ける「探知犬」を訓練してきて、2020年より「新型コロナウイルスの匂い探知犬」訓練に力を入れている。

 「新型コロナウイルスの匂い探知犬」は、学校のキャンパスやマイアミ国際空港などに派遣され、新型コロナウイルスの匂いを嗅ぎつけると、その「匂い」を発する場所の前で座るよう訓練されている。

 「探知犬」の弱点は、それぞれの犬が、特定の「匂い」しか訓練できない点だ。例えば、「新型コロナウイルス探知犬」は、マラリアやガンなど他の「匂い」を探知するのに再訓練することができないという。

 「匂い」探知犬の研究の次なる目標は、「匂い」分析をさらに進め、ゆくゆくは犬の鼻と同じ機能を果たすデバイス(※パソコン、スマートフォンなどと接続して使う装置の総称)の開発につなげることだ。

 探知犬の反応をビックデータとしてAIに学習させてAIが匂いの正体を突き止めることができれば、医療に貢献する更なる精度の高いデバイスの開発につながるだろう。

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