あのコーヒーCM曲「ダバダ」が復活した理由 第42代キャラはTOKIO、半世紀前の初代は?

北村 泰介 北村 泰介
天井からコーヒーの香りが噴射される間、「ダバダ」の音楽が流れる「ネスカフェ ゴールドブレンド 香り体感カフェ」=東京・原宿
天井からコーヒーの香りが噴射される間、「ダバダ」の音楽が流れる「ネスカフェ ゴールドブレンド 香り体感カフェ」=東京・原宿

 コーヒーのCM音楽と聞いて「ダバダ」のスキャットを思い浮かべる人は少なくないだろう。「ネスカフェ ゴールドブレンド」のCM曲として1970年から放送されてきたが、実はこの10年間近く〝封印〟されていたことにお気づきだろうか。同曲が今年10月から第42代キャラクターとなるTOKIOと共に復活したことを機に、その歴史や背景をたどり、「ネスレ日本」(本社・神戸市)の担当者にその理由を聞いた。(文中敬称略)

 いわゆる「ダバダ」と称される曲の正式タイトルは「目覚め-ネスカフェ・ゴールドブレンドのテーマ」。あの美声は当時「スキャットの女王」と称された伊集加代子、作曲はジャズピアニストの八木正生だ。

 八木は「網走番外地」シリーズや「不良番長」シリーズなど60~70年代の東映で膨大な数の映画音楽を手掛け、アニメ「あしたのジョー」の主題歌を作曲したことでも知られる。80年代にはサザンオールスターズの編曲を担当した。91年に58歳で亡くなったが、日本のポピュラー音楽界に偉大な足跡を残した同氏が生み出した名曲は、半世紀を過ぎた今も新鮮さを失っていない。

 「目覚め」がフィーチャーされたCMのキャラクターとして、「狐狸庵(こりあん)先生」こと作家の遠藤周作(第4代、72年)らがお茶の間に浸透した。ちなみに、初代(70年)は映画監督、脚本家の松山善三。昭和の大女優・高峰秀子の夫として知られ、二人三脚で日本映画界に数多くの名作を残した。

 昭和(70-80年代)の「違いがわかる男の」シリーズを振り返ると、作曲家の黛敏郎(第2代、71年)、歌舞伎俳優の中村吉右衛門(第3代、72年)、華道家の池坊専永(第5代、73年)、作家・北杜夫(第6代、74年)、指揮者の岩城宏之(第7代、75年)、狂言師の野村万作(第9代、77年)、ファッションデザイナー・やまもと寛斎(第16代、82年)、俳優の高倉健(第20代、86年)らが登場した。

 担当者はよろず~ニュースの取材に対し、「『ネスカフェ ゴールドブレンド』は1970 年から開始した日本を代表する文化人を起用した 『違いがわかる男の』キャンペーンを皮切りに、その時代において人々の憧れとされるような生き方や価値観に焦点をあてたコミュニケーションを展開してまいりました」と説明する。

 平成に入り、90年代は「上質を知る人の」、2000年代は「違いを楽しむ人の」、10年代は「違いがわかる人の」と、各年代でシリーズは変わり、第41代のDREAMS COME TRUE(12年)以来となる今年のTOKIOで「違いをつくる人の」という令和の新シリーズが登場した。その間に「ダバダ」が封印された理由について担当者に聞いた。

 「2013年に『脱インスタントコーヒー』を宣言し、微粉砕したコーヒー豆を独自の抽出液で包み込んだ『レギュラーソリュブルコーヒー』の展開を開始しました。新たなカテゴリーを創造することを目的としていたため、インスタントコーヒーを想起させてしまう可能性のある〝ダバダ〟のフレーズが印象的なCMソング『目覚め』の使用を一旦止め、レギュラーソリュブルコーヒーについて知っていただくための活動に注力しました」

 そして、「ダバダ」に回帰する。担当者は「レギュラーソリュブルコーヒーについても一定の認知が得られたと考える中、やはり『ネスカフェ ゴールドブレンド』といえば『ダバダ』、『ダバダを聴くとおいしいコーヒーを飲みたくなるよね』というお声も多くいただいていたことから、今回のCMソング使用復活に至りました」と理由を明かした。

 今月13日から24日まで、東京・原宿に「ネスカフェ ゴールドブレンド 香り体感カフェ」が期間限定でオープン。専門家(ソムリエ、調香師、きき酒師)による「香り」に特化したコーヒーを楽しむ体験ができるスポットだ。「ダバダ」復活の秋、コーヒーの香りを楽しむ季節がやって来た。

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