友達もいない女子高生の世界を広げた アニメ「スーパーカブ」 "どこまでも行ける"解放感を追体験

ゆきほ ゆきほ

1950年代に製造開始し、世界中の幅広い年代から愛されているHONDAスーパーカブ。現在、アニメファンの間ではそんなスーパーカブの総生産1億台突破記念として本田技研が協力監修したアニメ「スーパーカブ」が話題になっている。

主人公は山梨県北杜市で一人暮らしをする女子高生、小熊。両親もいない、友達もいない、趣味も無い、お金も無い小熊は、ただ家と学校を往復するだけの単調な毎日を変えようと中古のスーパーカブを手に入れる。

行動範囲が広がり少しずつ世界に色がついていく小熊の成長を、クラシック音楽や美しい風景と共に描く本作。本作のファンで主人公と同じように高校時代カブに乗っていたJさんにその魅力を聞いてみた。

――どうしてカブを選んだんですか?

J:田舎の祖父に貸してもらって初めて乗ったバイクがスーパーカブだったからですね。物心ついた頃から祖父はカブ乗りで、渋くて硬派なイメージに憧れてました。何となく仕事用や男性が乗るものだと思っていたので、女子高生とカブというバランスが魅力的に見えました。

――カブ乗り特有の、印象に残った出来事はありますか?

J:ガス欠ですね。実は初めて祖父にカブを借りた時、大きな橋の真ん中でガソリンが無くなり止まってしまって、家まで押して帰ったんです。カブにはガス欠になった時用のリザーブタンクが付いてるので、ガソリンコックを捻れば予備ガソリンで家まで帰れたのですが、知らなくて。第1話で小熊もガス欠で動けなくなるシーンがあるのですが、自分が橋の真ん中で動けなくなった時の絶望感をハッキリ思い出しました(笑)。今でも祖父の家に帰るとネタにされます。友人がギアとクラッチの操作を間違えてウイリーしたこともありました。パニックになり叫ぶ友人の姿が脳裏に焼き付いてます。今では笑い話ですが、怪我が無くて良かったです…。

――アニメに共感するところは?

J:本田技研協力・監修なので、すごくリアルなんですよね。スターターペダルを踏んでエンジンをかける感覚も蘇ってくるような。乗るだけでも楽しくて仕方なくて深夜にコンビニまで走ってしまうシーンや、磨いて綺麗になったカブに見惚れるシーンは、バイク乗りなら全員あるあるじゃないでしょうか。何より、初めてカブを手に入れた時の”どこにでも行ける”という感動、解放感を追体験できるのが、この作品の魅力だと思います。社会人になり自動車で移動するようになったのですが不思議とカブを手に入れた時のような感動は無くて、かけがえのない体験だったんだなと気づかされました。

◇ ◇ ◇

ただの移動手段ではなく、思い出や体験としてのカブの素晴らしさに魅了されるアニメ「スーパーカブ」。少しずつ広がる世界にワクワクし、まだ見ぬ景色を想像し希望と高揚感で胸が張り裂けそうになったあの頃…初めて自転車に乗った時、電車に乗った時、バイクに乗った時のあの感動を思い出させてくれるエモーショナルな名作だ。


アニメ「スーパーカブ」公式サイト: https://supercub-anime.com

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