YouTubeでも話題のレトロ雑貨店「近江屋」 代表は異色の経歴「レトロ好きな若い人と商店街を盛り上げたい」

中江 寿 中江 寿
レトロな商品に囲まれる近江屋代表の鹿谷明生氏
レトロな商品に囲まれる近江屋代表の鹿谷明生氏

 大阪・大正区の商店街サンクス平尾の一角にある「近江屋」はレトロ雑貨を中心に販売。ユーチューバーが紹介したことで話題となり、掘り出し物を探そうと、全国からマニアが足を運んでいる。店内には袋に入ったソフビ(ソフトビニール)人形がつるされ、なつかしい雑誌や古本、メンコ、昔のアイドルのブロマイドやグッズ、プロ野球カード始め、時計、財布、バッグなどもあり、昭和の頃に町内にあった雑貨店の雰囲気を漂わせている。

 代表の鹿谷明生氏が「アイテムは細かい物を含めると1000個以上はあるんじゃないですかね」と言うように、多彩な品ぞろえ。中心は復刻版の日本製ソフビ人形で価格帯は8000円から1万5000円までが多く、中には3万円の人形も。他にも昭和40、50年代のメンコが2枚で100円など価格も幅広い。過去には1体20万円のソフビ人形もあったが、現在、最も高価な物は「ウメ星デンカのペンダントソフビ人形」で、価格については来店して確認してほしいとのことだった。

 鹿谷氏は異色の経歴の持ち主だ。清風高、佛教大ではバレー部に所属。大学卒業後は高校教師をはじめさまざまな職業を経験し、その中で母校や神戸国際大学のバレー部監督やアドバイザー、Vリーグ奈良NBKドリーマーズ(現奈良ドリーマーズ)、聴覚障がい者によるバレーボールのデフバレーボール2017年トルコ・サムスンデフリンピック日本男子代表監督などを務めた。現在も障がい者スポーツの発展と共生社会の実現を目指すNPO法人「BREAK THROUGH」理事として活動もしている。

 「近江屋」の創業は1964年。当初はカメラ、時計、貴金属から家電、衣料品などを販売していたが、時代の流れとともに75年ごろからディスカウントショップに変わった。91年に父親が亡くなり、母親が一人で営業を続けるも、ケガをしたことをきっかけに引退することに。仕事の合間に手伝っていた鹿谷氏が引き継ぎ、2022年の年末からレトロな雑貨を中心に扱うようになった。

 もともとレトロ雑貨には興味があり、のみの市などで品物を買ったり、見たりはしていた。「僕がやるんだったら、ちょっと好きなことをやらしてもらっていいかということで。その頃にたまたまコレクターさんと出会いがあって、僕の持っている物とその人が持っている物で始めました」。最初は商品の市場価値などで苦労したこともあったが、休日に同業者の店に足を運んだり、友人や客からアドバイスをもらったりしながら、徐々に慣れてきた。

 仕入れ先はコレクターからの買い取り、古いオモチャ屋からの引き取り、同業者同士での取引など。「結構、必死のパッチです。ソフビも90年代初頭ぐらいから中国などに工場が移管してますよね。その頃までの日本製がレア度が高いというか。もちろん、昭和30、40年代のビンテージは別格なんですけど」。簡単には品物は見つかるものではないが、好きなことをしている喜びはある。「楽しいですね。物との出会いも楽しいですし、物を通じての人との出会いは尽きないですよね」と笑う。

 コレクターとの交流の中でレトロ雑貨販売イベント企画も立ち上げた。7月14日には大阪・ホテルイルクオーレなんば1Fレストラン「サローネ」で「レトロはイソゲ」と題したイベントを開催する。「こういうイベントを積み重ねていきたいですし、最終的にはレトロ好きな若い人と、ここの商店街を盛り上げていきたいですね」とこれからの目標を掲げた。

 なお、営業日時については近江屋のインスタグラム、公式Xで確認を。

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