自分と他者との間の心理的な境界を尊重する「バウンダリー」という概念がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは漫画家、イラストレーターのフクチマミさん(@fukuchi_mami)が
「「私たち〇〇なんだから隠し事はナシだよ」は、おかしい事だったのか…
たとえ親子でも、恋人でも、親友でも、有名人でも【バウンダリー】を尊重することが必要」
と投稿した漫画。
自己を守るために他者との間に引くバウンダリー(境界線)。漫画では、例え親子や恋人のような近しい仲でも、それをみだりに踏み込まないことが、独立した個人として互いに尊敬し合えるようになる第一歩だと説いている。
近年、いわゆる「毒親」や「モラハラ夫(妻)」のように心の距離感を見誤ったがゆえのトラブルが社会問題になっているが、フクチさんの意見に共感する人は多いようだ。
今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは
「思い当たる節が無数に...!」
「マンガにしてくださってありがたい&わかりやすい。
線引きが難しいからストレスになっちゃったりするんですよね。
絶対付き合わねばならない相手(お客さんとか家族とか)に対して1番大切なのかもしれない」
「親子でも境界線は必要です。母は境界線を侵害して、私が触れてほしくないことをズケズケと言う。成人後も私の生き方、立ち居振る舞い、服装、対人関係にダメ出しをする。これはモラルハラスメントだと気づき、接触を断ちました。」
など数々の驚きの声、共感の声が寄せられている。
フクチさんにお話を聞いた。
ーーバウンダリーという概念をお知りになった経緯は?
フクチ:最初は心理学の話でこの概念に出合い、かなり衝撃を受けました。その後、性教育でもバウンダリーについて扱われていることを知って「これはマンガで描きたい!」と思いました。
ーーバウンダリーを意識することで、親子関係以外にもなにか意識されるようになったことはありますか?
フクチ:バウンダリーを知るまでは、近しい関係であればどんどん踏み込んで良いものだと思っていました。近しくなるためにあえて踏み越えようとしたこともありました。また逆に踏み込まれても「これは相手の好意の表れで良いことなんだ…」とモヤモヤを我慢していたので、日常的に人間関係のトラブルや不満が多かったです。相手が背負うべき責任も代わりに負うことも頻繁にありました。
バウンダリーを知って「どんなに親しくても話したくないことは話さなくてもいい」と知ってからは、人付き合いに秩序が生まれトラブルも激減してラクになりました。バウンダリーのない人間関係は無秩序だったということですよね。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
フクチ:何名かの方が「バウンダリーってATフィールドのことか!」という感想がありました。エヴァに詳しくないので厳密には分かりませんが、他者から侵されない自分で決める境界線ということであれば、きっとそうなんだろうなと面白く読みました。
他には、ご自身の親子関係でバウンダリーの侵害があった苦しい記憶を書いてくださる方が多かったです。親子間はバウンダリーが曖昧になりがちなので、特に弱い立場である子どもが苦しくなります。逆に自分の親はこれを大切にしてくれていたんだと感謝の言葉を書いている方もいて、バウンダリーを尊重する意味の大きさを感じました。
◇ ◇
フクチさんは村瀬幸浩さんとの共著『おうち性教育はじめます 思春期と家族編』(KADOKAWA)でもバウンダリーについて触れている。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
フクチマミさん関連情報
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