モラル崩壊の「ペットゆずりオンナ」の実態に迫る!ライフスタイル合わず友人に「もらってくれない?」

こずえ こずえ
望月さんが譲り受けた愛猫のベルちゃん。今となっては大切な家族になっているという
望月さんが譲り受けた愛猫のベルちゃん。今となっては大切な家族になっているという

 ここ最近、コロナ禍などで自宅で過ごす時間が増えたことによりペット需要も増加。一般社団法人ペットフード協会(東京)の2021年の推計によると、1年以内に飼育がはじまった犬は39万7000匹で、コロナ前(19年)と比べ約1割増え、猫は約2割増の48万9000匹だったそう。その一方で、無計画に飼育を始めた結果、無責任に飼育を放棄する飼い主の存在も問題化しているという。実際に、友人に猫を譲られたという望月めぐみさん(33歳/仮名)にその経験を語ってもらった。

ペットを衝動買いした無責任な友人

 10年以上猫を飼い続けている愛猫家の望月さんに、ペットを押し付けたのは職場での友人。「その友人とは前の職場の同期で意気投合し仲良くなった人でした。私は転職しましたが、彼女とはその後も変わらずに関係を続けていました。その頃から猫を飼っていましたから、私が愛猫家であることは昔から知っていたんですよね」

 そんなある日のこと、コロナ禍の中、その友人からLINEで「望月さんが羨ましくて私も猫飼いはじめたよ〜」という言葉が添えられた子猫とのツーショット自撮りが送られてきたという。「その時は、愛猫家の友達が増えたと思って嬉しかったんですけどね。たぶん、コロナ禍がはじまってリモートワークが導入されてから、家で過ごすのが寂しくなったのでしょうね。最初の数日間は楽しそうだったんですけど、2〜3週間ぐらいたった頃からちょっと愚痴っぽいLINEが来るようになったんですよ」。“うんちが臭くて大変”“部屋がトイレの砂まみれになって大変”『夜中に走り回って寝れなくて大変”など、日を追うごとにそうした愚痴が止まらなくなったとか。

 それからしばらく経った後、その友人から「聞いてほしい話がある」とランチに誘われた望月さん。「とにかく驚きました。ランチがはじまった途端に、『猫の飼育が大変だから望月さんもらってくれない?2匹飼ってるって聞いてたから1匹増えても大丈夫かと思って』と相談されまして……。なんとなく手放すんじゃないかと心配はしていましたが、その通りになってガッカリしましたね。友人は購入前に猫の飼育に関する知識はほとんど調べてなさそうでしたから、衝動買いだったのでしょう」と望月さんは嘆く。

 友人の信じられない相談に怒りを覚えながらも、愛猫家である望月さんは、「もし断ったら、猫ちゃんになにをするかわからない」と思い、友人の猫を受け入れることを決め、そのまま今日まで楽しく暮らしているという。望月さんは、「大切な命なんだから、一度飼うと決めたからにはしっかりと責任を持って飼育してほしい。友人にも、やんわりとそう伝えたのですが……あんまりピンときていない様子だったので、もうこんな人とは付き合えないと思い、今では距離を置きました」と話した。

 ペットを飼いはじめた後にイメージと違うことを理由に、無責任に手放そうとするケースが増えつつある現状について、特定非営利活動法人動物愛護団体エンジェルス代表の林俊彦さんは次のように話す。「今年に入ってようやく落ち着いてきましたが、やはり、ステイホームを機にペットの保護をする機会は増えましたね。私自身、無責任な方や劣悪な環境で飼育している方に出会うこともあります。どういった事情があっても、被害を受けるのは犬や猫です。飼えなくなったからと保健所に持ち込まれた犬は収容から4日で処分可能という法律があります。安易に捨てられた猫は野猫になり2ヶ月というスピードで繁殖するので、我々もTNR(Trap Neuter Return:野猫を保護し、避妊手術を施し、元の場所に返す活動)をしています。無責任に飼い始めた方や、これからペットを飼いたいという方には、本当に家族を迎え入れる気持ちで責任を持って動物を飼育し、愛してあげて欲しいです。親や子供だとお世話が大変だからと捨てたりは絶対にしないじゃないですか」と、語ってくれた。

 こうした飼育放棄に対し、世界では欧米を中心に規制が進んでいるという。日本でも早く、動物に対するルールが整備され、こんな無責任な飼い主が減ることを願うばかりだ。

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